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今宵は誰の腕の中で眠りますか⋯?

第12章 伝えたいことは (黒尾鉄朗)



翌日放課後。部活が終わるなり学校を飛び出して音駒を目指す。梟谷バレー部としては来たことがあるけど個人では初めて来る校舎になんだか緊張する。見慣れない制服と生徒。校門に立つ俺を不思議そうに見ている。

「あれ、梟谷生?」

「え、あ、はい」

「キミ背高くてカッコイイね。誰か待ってるの?彼女?」

「いえ、まだ彼女ではないです。」

「ふーん、呼んできてあげよっか?」

「ありがとうございます。でも大丈夫です。」

彼女とは違う派手な化粧に甘い香水の匂い。ちょっと苦手かも。

『赤葦くんお待たせです…っ』

「…さん!全然待ってませんよ、走って来てくれたんですか?」

少し息を切らしている彼女に愛しさが込み上げる。

『だって待たせてたら悪いし…』

「え、この子のこと待ってたの?やめといたら?こんなビッチみたいな子笑」

『…っえ、』

は?

「この人さんの友達…ではなさそうですが知り合いですか?」

『ぇと…よく部活見に来てくれてる3年生、だよ。』

あぁそういう。

「バレー部のマネージャーなんかしちゃって本当は黒尾くん目当てでしょ。それとも別の人?男バレかっこいいもんね?それで相手にされなくて梟谷の子捕まえたんだ?」

『え、ちが…っ私はほんとに… 「謝ってください」

「は?」

「彼女は誰よりもバレー部のことを考えてます。1人で全員のケアをしてるんです。他校の俺らにだって分かる。こんなに真摯に向き合ってくれるマネージャーがいる音駒が羨ましいですよ。」

『赤葦くん…』

「そういう頑張り屋なところも好きになったんで。さんを傷つける発言は許せません。謝ってください。」

彼女がどれだけ音駒バレー部に時間を費やしているか、尽くしているか、何も知らないくせに。黙って聞いてるなんて出来ない。

『い、いいよ赤葦くん…』

「部員のケアって?あぁ身体で?笑」

「そんなわけないだろ!!今の発言取り消してください!」

「おっきな声出してどうしたの?もう私いくね〜」

「おい!待てって!『いいよ赤葦くん。男バレの皆かっこいいし…誤解されないように私ももっと頑張らないとってことだよ。』

なんで彼女が傷つかないとならないんだよ。何も悪くないのに。こんなのっておかしいだろ。
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