第12章 伝えたいことは (黒尾鉄朗)
side黒尾
告白したって言った!?ねえ!?
あ!り!え!ね!え!んだけど!?
赤葦なんっなの!ほんと!告白早すぎねえ?てか、なに。え。付き合った?いやいやきっと大丈夫…付き合ってんならもっと俺の彼女ですよ感出してきそうですもん。
…だとしたら振られた?
もしくは保留?
わかんねえ…モヤモヤする。
この試合ぜってえ勝つ…!
「黒尾さん」
「なんですか」
「さんは俺が貰います」
「…っあげません!」
「ちょっとクロ…顔怖い。」
「研磨、俺にトスよこせ」
「は?」
「いいから」
「はいはい」
負けられない。なんかこの試合絶対負けちゃいけない気がする。練習試合といえど負けたくないのはいつも。でも今日はいつものそれとは違う。
「ヘイヘイ黒尾ー!今日の俺は絶好調だぞー!トスよこせーあかーし!!」
「はい、勝ちましょう木兎さん」
1-1でむかえた最終セット。
「ぜってぇ勝つ」
「こっちだって負けられません。」
デュースまで持ち込んだ最終セットは赤葦のツーで幕を閉じた。
「あああくそ!」
「なんだよあかーしー!最後絶対俺に来ると思ったのに!」
「すみません」
「いーや、俺も騙されたしナイスツーだった!!」
かんっぜんに騙された…木兎がすげえ勢いで飛ぶから…。
「最後のは相手を賞賛だね。木兎さんすら騙されてるんだから仕方ないよ。」
仕方ない…そうかもしれねえけど。今回はなんかすげえ嫌な予感がすんだよ。
「さん」
『あ、赤葦くん』
「勝ちました」
『うん、最後のツーアタック凄かった!』
試合が終わるなりに駆け寄る赤葦。勝ちました、なんて見てりゃ分かるっつーの!いちいち言いに来んな!
「約束、覚えてますか?」
『もち…ろんです』
「良かった。また連絡します」
『うん』
全部聞こえてますよ。約束?なんの?嬉しそうな顔しちゃって!赤葦くんはの前だとそんな柔らかい表情とかしちゃうんだ?
この試合に負けた事をどれだけ悔いるか、この時の俺はまだ知らなかった。