第12章 伝えたいことは (黒尾鉄朗)

「黒尾さんとその…復縁とかは。」

『考えたことないな…それに鉄朗だってきっと嫌でしょ。サポートするとか言って実は好きでしたなんて最低だもん。』

「やっぱりまだ好きですか？」

自分で聞いておいてすごく苦しい。

『…うーん、分からない。嫌になって別れたわけじゃないから…気にはなっちゃうけど…でも純粋に応援したいと思ってるよ。』

そう言って眉を下げて笑顔を見せる彼女。俺ならそんな悲しい顔させないのに。

「俺じゃ…だめですか」

『…っえ？』

「好きですさん。」

『ぇあ、ま…待って』

「本当はもっと時間かけて俺の事意識してもらおうと思ってたんですけど…すみません。」

『でも…まだ知り合ってそんなに経ってないし…』

「時間が経ってなきゃ好きになっちゃいけないんですか？」

告白なんてした事ないし、絶対にいろいろと間違えてる。誰かが言ってた、告白は3回目のデートでするものだって。

『気持ちは…凄く嬉しい。』

「ダメ、ですか？」

『赤葦くんだって梟谷の選手でしょう？君のバレーボールの邪魔はできないよ。』

「俺は…公私混同はしません。部活は今まで通りちゃんとやります。」

『…でも。』

「それとも年下は興味無いですか？」

『そ、そんな…こと！赤葦くんは素敵だと思う！ます！』

「ほんと？俺期待しちゃいますけど。」

『も…もう少し待って欲しい、です。』

「もちろんです。」

押しに弱そうな彼女にこんなふうに畳み掛けて我ながら酷いとは思うけど、意識して欲しいから。

「あれ、あかーし！？あかーしじゃん！」

「げ…この声…」

『木兎くん？』

「もいんじゃん！なになにデート！！？」

「こら木兎！話しかけんなって…！すまん赤葦止めたんだが…。」

「いえ、言っても止まらないのが木兎さんなので。」

はあ…1番見つかりたくない人に見つかった…。

「ほら木兎いくぞ！ごめんな赤葦！ちゃんも邪魔して悪かった…！」

『あ、ううん…！』

申し訳なさそうに木兎さんを引っ張っていく木葉さん。そういえば今日は2年生全員で出かけるって言ってたっけ。遭遇の可能性までは考えてなかったな…。