第12章 伝えたいことは (黒尾鉄朗)
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メールの受信音。
…赤葦くんだ。
《赤葦です。次のoffってもう出てますか?こっちは来週末なら空きそうなのでさんの予定と合えばその日に、と思っていますがどうですか?》
赤葦くんらしい文面。少し堅いというかなんというか…年下とは思えないくらいしっかりしてるし。暴れん坊木兎くんの専用お世話係みたいな子。
《来週末で大丈夫だよ。楽しみにしてるね!》
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待ち合わせの10分前に到着したはずなのに赤葦くんの方が早かったみたい。
『ごめんねお待たせ!』
「全然待ってないですよ。」
『来るの早いね赤葦くん』
「楽しみだったんでつい、です。」
そう言って照れたように笑う彼は私がまだ見た事のない表情だった。もしかしたら彼は私が思うよりもずっと表情豊かな男の子なのかもしれない。
『外で会うのはなんだか不思議な感じがするね』
「俺…服とか変じゃないですか?」
『全然変じゃないよ?赤葦くんはスタイルがいいから何着ても似合いそうだね』
「初めて言われました…さんは凄くお洒落ですね。すごく似合ってます。イメージぴったりです。」
ピンク色のシースルーインナーに膝より少し短い白のキャミソールワンピース。ハーフ丈のピンクの靴下。私のお気に入りのお洋服たち。
『お洋服好きだから褒められると嬉しいよありがとう。それに赤葦くんだってお洒落だよ?』
彼はアイボリーのスラックスに白のシャツ。第3ボタンまであいていて、中に着ている黄色のTシャツがアクセントになっている。
「これ…実はうちのマネ陣に聞いて…こういう着方とかした事ないんですけど変じゃないですかね…」
『そうだったんだ!すごく似合ってるよ〜!』
「良かった…」
赤葦くんも不安になったりするのか…こういう時じゃないと知れない彼の一面が見れるかもしれない。もう少し赤葦くんのこと知りたいな。