第12章 伝えたいことは (黒尾鉄朗)
side黒尾
「カフェ行く日程あとでメールします」
最っ悪だ…デートの約束するくらい距離縮まってる…。なんにも言えなくて黙っての腕を引っ張ってきちまった。
1番後ろの席に押し込むように座らせて、その隣に俺も腰を下ろした。通路を挟んで隣の2人席は毎度荷物置きで潰されてるから、誰かが振り返りでもしない限りは誰からも見えない。
『あの…てつろ?』
「赤葦とデートすんの?」
『あ、えと。前に赤葦くんに勧めたカフェ…男の子だけじゃ入りにくいところだから私が一緒にいくだけだよ。』
「ふーん。俺もカフェ行きてえ」
『え、鉄朗カフェとか興味あったっけ?』
「少しくらいありますよ」
ないですけど!少しも!でもお前と行けるならどこだって夢の国なんですよこちとら。
『あ、じゃあ一緒に行くのにピッタリなところがあるの。そこ行こう?』
「え、いーの」
『え、やだった?』
「行きます絶対に」
『うん、次のオフで行こう!』
「ん、楽しみにしてるわ」
とデートの約束ができるなんて…泣きそう。幸せすぎて無理。嬉ションしそう…。
の行動ひとつでこんなに感情コロコロ変わって俺ってば忙しいヤツだな全く。そんで激チョロい。
しばらく経つと前回の合宿時同様にウトウトと俺の肩に頭を預けて寝てしまった。ほんと無防備なやつ。俺まだお前のこと好きだからさ…そんなに警戒心解かれると悲しいですよ。
なんて言いつつ、こてんと置かれた頭に自分の頭を預けて俺も寝るんですけどね。これくらいは許されるでしょ。絶対また俺のこと好きにさせるから…。