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今宵は誰の腕の中で眠りますか⋯?

第12章 伝えたいことは (黒尾鉄朗)


side you.

鉄朗とお似合い…か。

たしかに付き合っていたし、距離感だって特有のものがもしかしたらあるのかもしれない。心做しか別れた今でも私のことを気遣ってくれているし。

だけど他の人からそう見えてるのなら…鉄朗のバレーの邪魔になってしまうかもしれない。私はバレーをしてる彼が好きだから。近くで応援していたいし、このチームで夢を叶えて欲しい。その夢に私は必要ない。

付き合っていた頃、些細なことで喧嘩になったことが1度だけあった。鉄朗はそれで本調子が出なくて、練習試合と言えど彼のミスが大きく響いて負けたことがあった。あの日以来私は邪魔になると思った。それでも私を好きでいてくれる彼を手放せなくて、卒業という節目でやっと…やっと手放した。

なのにこうしてサポートなんかして。バレーをする彼を近くで見たいだけ。邪魔はしないから…だからせめてこの距離から応援したい。

「大丈夫?クロとなんかあった?」

休憩時間、体育館の外にぼーっと立つ私へ声をかけてくれたのは研磨くんだった。

『大丈夫…だよ。鉄朗なんか言ってた?』

「いや、元気無いから俺が勝手に話しかけに来ただけ。」

『私ちゃんと皆の役に立ててるかな』

「何、そんな事で悩んでたの?」

『そんな事って…重要だよ』

「は頑張りすぎだよ。1人でこの人数相手に全部フォローしようなんて思わなくていいから。手が足りないならせめて俺ら1年を頼ればいいでしょ。」

『研磨くん…』

「何泣きそうな顔してんの。泣かないでよね。勘違いされたら俺がクロに怒られるんだから…」

『ふふ、泣かないよ。ありがとう元気でた。』

不器用ながらも真っ直ぐな言葉で伝えてくれる研磨くんに救われる。誰の邪魔にもなりたくなくて、1人で抱え込みすぎていたのかもしれない。

「ならいいけど。あと…クロと仲直りしてよね。凹んでてめんどくさいから。」

『別に喧嘩なんて…』

「いいからクロに話しかけてあげて」

『うん。分かった』

喧嘩…?なんてしてないけどなあ。
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