第12章 伝えたいことは (黒尾鉄朗)
「お前トマト食べれるようになったの?」
サラダに1人3つずつ盛られたトマト。はトマトが食えなかったはずだけど…1つ減ってる。
『た、べれる…ます』
「そう?味噌汁で流してんの気のせい?笑」
『う、食べられません…でも残したら悪いし…』
「俺が貰ってもいい?」
『…いいの?』
「無理して食うことないでしょ。貰いますね」
彼女の皿からトマトを取り除いて、かわりにリンゴを置く。
『え、リンゴいいの』
「好きっしょ果物」
『覚えてたんだね…ありがと鉄朗。』
「え、あ…うん。いえいえ。」
ええーーえなに、なに?なんっなの?
いやまあ付き合ってましたし食の好き嫌いくらいそりゃ覚えてますとも!そりゃあね!まだ好きですしあなたのこと!!覚えてたんだねって…付き合ってた時のこと覚えてたんだねってことですよね。えーなんか嬉しい…の中から俺が抹殺されてなかった事が嬉しい…。
「なんかお前らってさ親子みたいだよな」
「親子?俺とが?」
「黒尾過保護だし、ちゃんは目の離せない子供てきな?」
ケラケラと笑う夜久。
「過保護…」
鬱陶しがられてたらしんどいな。
「んまあ、ちゃんになんかあったらすっ飛んでくからな。過保護だろ。なあ?」
『あ、うん…でも鉄朗がいて助かることも多いから…』
「んま、そうだろうな。親子っつうかSP?みてえだもんな」
「あー…鬱陶しかったりする?」
『え、ううん…っ!鉄朗がいたら助かることも多いの。ほんとだよ?』
「…そ、っか。それなら良かったデス。」
なんなのもう…朝から心臓ドクドク。俺がいると助かることってなに?ナンパ?やっぱりそっちの類ですかね?高いとこの物取るとか?鬱陶しがられてないなら良かった…ほんとに。
「あれだなお前ら、お似合い。」
「へ?」
「付き合ってても変じゃねえしお似合いだよな」
「ちょっとやっくん何言ってんの」
「ちゃんも黒尾ならあり?」
『私は…っえと、』
「こら。朝からうちの姫困らせないでくれますかあ?」
「ごめんごめん笑」
冗談口調で切り抜けるしかない。は下を向いてしまったし、研磨だって少し離れた席から心配そうに見てる。