第12章 伝えたいことは (黒尾鉄朗)
は人当たりがめちゃくちゃいい。他校の選手ともよくコミュニケーションをとってるし、もちろんマネージャーの子達とも仲良くやっているぽい。だからこそ好きになられやすい。
「あ、あの…っさん」
『はーいっ』
ほら。またお呼び出し。
今度は森然の選手。さっきは梟谷。
ここに来て一日でもう2人目。
夜の自主練時間、彼女は2度目のお呼び出しに笑顔で応えて体育館の外へと出ていった。自分が可愛い自覚もなければモテるなんて微塵も気づいていないお天然な彼女。いつか悪い人に捕まっちゃうんじゃないかと色んな意味で目が離せない。
しばらくしては赤葦と戻ってきた。
は、え?なんで赤葦?森然のヤツといたじゃん。
「大丈夫ですか?なにか飲み物いります?」
『あ、…いや、…ぅん貰おうかな…ごめんね』
「全然です。向こうのが休めると思うので一緒に行きませんか?」
『うん、ありがと。』
え、なに。どうしたの…。
考えるより先に俺の体は彼女へと向かっていた
「おい黒尾どこいくんだよ!」
「ごめんやっくんちょっと抜けるわ!」
「はあ!?」
やっくんにはあとで怒られるとしてまずは。
「!」
『鉄朗…?夜久くんたちと自主練してたんじゃ…』
「そんなんいいから…なんかあったのか?森然のやつと出てったのは見たけど…」
『あ、いや別に大したことじゃないの。』
「言えねえこと?」
「俺が説明してもいいですか?」
「あ、うん…」
を隠すようにして立つ赤葦に心のモヤは大きくなるばかり。
「俺はたまたま外で涼んでたんですけど森然の選手に告白されてたみたいで。そこまでは良かったんです。でもさんが断ったら彼女の肩掴んで お願い付き合ってって何度もしつこく。」
「お願いって…会ってまだ半日そこらだろ。」
「最後はそろそろ戻らないとって体育館に目を向けたさんの腕掴んで付き合ってくれないと死ぬとか言い出して。彼女震えてましたしさすがに見てられなかったんで俺が割って入っちゃいました。」
なんだそれ…あって数時間そこらのに…付き合ってくれなきゃ死ぬ?頭おかしいだろ…森然のベンチ入りもしてないやつ。顔覚えたかんな。