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今宵は誰の腕の中で眠りますか⋯?

第12章 伝えたいことは (黒尾鉄朗)


「お、さん?
もう来てくれたのかい?」

『あ、猫又監督!
夏だけじゃなくて人手が欲しいって仰ってたので…ご迷惑じゃなければですけど…。』

「迷惑なわけないだろう。君が来てくれるなら皆願ったり叶ったりだよ。去年の夏は本当に助かったからね。」

『ほんとうですか!』

「もちろんだよ、さあ皆に挨拶しようか。1年生は君のことをまだ知らないからね。集合ー!」

猫又監督に促されて、足早に集合した皆の前に立つ。

『えっと、2年のです。2.3年生とは去年の夏ぶりですが…と言っても校内で会いますが!1年生とは初めましてですね。マネージャー…とまではいかないけれど皆がプレイに集中できるようにお手伝いさせてください。』

「「おなしゃあっす!!」」

1年生も頭を下げて挨拶をしてくれた。すると3年生の主将さんが前に出てきて改めて私を紹介してくれた。

「は去年の夏の忙しい時期に無理言ってマネ業お願いしてた子ね。めちゃくちゃ気がきくし男だらけのムサイ空間では相当癒しになると思うから!笑」

なんて冗談交じりに言うものだから笑いが起きる。

「まあ、あれだ。正式なマネージャーじゃなくて、俺らがお願いしてる立場だから何でもかんでもに頼らないようにな。」

「「「うっす!」」」

『お願いしますっ』

去年の夏はバレー部の皆と過ごせてすごく楽しかった。中学生の時は男子バレー部のマネージャーをしていたから新しく覚えなきゃいけないことも特になくて…やっぱりこういうのが好きだなって思った。

初めましての1年生。でも研磨くんだけは知ってる。中学校が一緒だったから。真反対な性格なのにいつも鉄朗と一緒にいる。

「あ、なあ」

『んー?』

「…今日研磨と3人で帰んない?」

『あ、うん…?いいけど』

「ん、じゃあ終わったら待ってて」

鉄朗とは前に付き合ってた。別れて1年以上経つ。嫌いになったわけでも他に好きな人ができたわけでもない。ただ、バレーをする彼が好きだから…私はそれを邪魔したくなかった。
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