第11章 狂おしいほど愛してる (番外)
帰国する日。
予定より早い便で帰ることにした。
その方が予定してた便よりも快適なシートらしく、2人で寝転がりながら帰れるからと万次郎が決めた。
『帰り早まってごめんね芹沢くん。バタバタだったよね』
手続き諸々を彼に全て任せてしまったのでいらぬ仕事を増やしてしまった。
「いえ、間に合って良かったです。
それに俺まで同じクラスのシートなんて…」
『そんなの気にしないでよ。皆で快適に帰ろ!』
「お前のおかげで過ごしやすかった。ありがとな。」
部下の子にわざわざお礼なんて珍しい。よっぽど芹沢くんのこと気に入ったんだなぁ。
「勿体ないお言葉です…ありがとうございます!」
フライト中は少し小さめのベッドみたいで、2人でくっついて眠った。皆が忙しく働いてる中こんなのんびり過ごしてなんだか悪いなぁ。帰ったら美味しいご飯作ってみんなが少しでも休めるようにしないと…。
「体痛くない?」
『うん、このシート凄いね。快適だあ』
「お前と飛行機乗る時は毎回コレにしようね」
そう言って私の頭を撫でる彼。
日本に着くとゲートの外に黒スーツを身にまとった男性が数人立っていた。
『ねえわざわざ呼んだの?』
「だって荷物とか車とかいろいろあんじゃん」
『それにしても目立ってるってば』
明らかにカタギでは無い雰囲気に立ち行く人が振り返る。
「この世界入って何年だよ。そろそろ慣れてくんなきゃ。あ、やめるとか言うなよ?俺のそばにいて。」
『今更辞めるなんて言わないよ。』
お迎えとか荷物持ちとか諸々大袈裟すぎて全然慣れない。もちろんこの世界を辞める気は無いし万次郎のそばにいると誓った。それに護衛を付けることが大袈裟では無いと身をもって知っているから甘えてしまう。
「帰ったら誰かと約束してる?」
『うん、竜胆くんと。』
「竜胆と?大丈夫なの?」
『赤ちゃんがいるって決まったわけじゃないし…生理の予定日もまだ少し先だから。竜胆くんには色々わかってから話すよ。』
「そっか。」
『今はまだ万次郎だけが知っててくれればいいよ』
「そう言われると悪くないな」
そうして長旅の末にお家へと戻ってきた。