第11章 狂おしいほど愛してる (番外)
帰りの車内でも手を繋いだり、赤信号につかまる度キスをしたり。2徹したのが嘘みてえに疲れが飛んでく。
駐車場につくなり運転席をおりて助手席に回った。ドアをあけてシートベルトを外してあげる。屈んでキスをしてから手を差し伸べて彼女の降車の補助をする。
兄貴が見たら笑うんだろうな。兄貴も大概ちゃんと車乗るときはいつもこんなだけど。まさか俺が誰かをエスコートするなんて…しかもプライベートで。仕事でもやりたくねぇのに。
『ありがとう竜胆くん』
「あのさ。」
『うん?』
「こんなんするのちゃんにだけだから。それは知ってて欲しい…。」
俺にとって君がどんなに特別か教えないと。
『ふふ、うん分かったよ』
嬉しいって笑う顔が可愛くて胸が締め付けられる。
「竜胆さん?とさん!どこかにお出かけですか?呼びつけて頂ければすぐに…っ」
『お疲れ様、ううん今帰ってきたとこだよ』
俺らを見つけて走りよってくる部下。護衛も付けず運転手も付けずで驚いたってとこだろ。
「え、買い出しなら俺たちが…っ」
『いいの、私たちが食べる分だしそんなことで皆のお仕事増やしたくないから。まとまった休暇もあげられてないのにいつもありがとうね。』
「い、いえそんなこと!
せめて荷物お運び致します。」
俺らと話す時よりもちゃんと話す時の方が表情が柔らかいし緊張もあんましてないように見える。普段ちゃんがどんな風にコイツらと接してるのか、見ていなくとも伝わってくる。
『どうする竜胆くん荷物持ってもらう?』
「あー、いや。俺が持ってくからいいよ」
「えっ?」
「なんだよ」
「いえ…っ何かあれば呼んでください」
『竜胆くん不器用なだけで本当はすっごい優しいから怖がらなくていいよ〜』
「ちゃん言わなくていいって…っ」
『言わないと竜胆くんのいいとこ伝わらないもの』
「あーもうほんと調子狂う…。んじゃそういうことだからお前は戻っていーよ。」
「あっはい、失礼します。」
俺が優しくするのも気にかけるのも…不器用なりに気持ちを伝えたいと思うのも全部ちゃんだからなのに。ちゃんと分かってんのかな。