第11章 狂おしいほど愛してる (番外)

｢あ、じゃあさ…彼氏とかいたことあんの？｣

『ないよ〜』

｢え！？｣

『えっ！？』

いやいや、え？世の中の男バカすぎじゃね？
こんないい女放っておくとかないだろ…。

｢なんで？｣

『竜くんも知ってると思うけどさ、昔からマイキーと一緒だったし周りが恋愛してる頃私は喧嘩に明け暮れてたから…。』

｢だとしてもこんな美人男が放っておくわけねーんだけどな。料理も上手いし面倒見いいし優しいし…。｣

『竜くんてば褒めすぎだよ。告白をされた事は何度かあるの…でも私のせいで何かに巻き込みたく無かったし、何よりもマイキーのそばにいたかった。』

｢マイキーの…｣

2人の間には計り知れない絆があると分かってる。恋とか愛とかじゃなくて家族とも違う…もっと誰にも引き裂けないようなものが。

『マイキーいろいろあったでしょ。約束したの。私は絶対いなくならない、私がそばにいるからって。無敵だなんだ言われてても普通の男の子だからね。人よりも守りたいものが多い分マイキーの心は脆くて弱かった。』

｢首領の心が弱い？｣

『弱いよ…すごく。先頭に立つ器があって圧倒的カリスマ性を持ってるけど、自分は強くあるべきだっていつも弱さを隠して心を殺してた。気づかないうちにボロボロになってたの。だから求めてくれるならそばにいてあげたいの。』

マイキーが弱いなんて思ったことは1度もない。ただ、ちゃんが長期任務で帰ってこねえときはちゃんの名前を息をするように口にしている。この人にはちゃんが必要なんだと嫌でもわかるほどに。

｢首領は幸せだね。
ちゃんにこんなにも想われてて。｣

『…だから私は昔から恋愛とは無縁だよ。
竜くんこそすごくモテたでしょ？』

雰囲気暗くしてごめんねって話を戻す彼女。

｢俺は別に…ほら、兄貴の方がモテるから｣

『竜くんこんなに優しくてカッコイイのに皆見る目ないのかな？』

｢え？｣

『竜くんは優しくてカッコイイって…』

｢それ本気で言ってる…？｣

『もちろん』

｢ちゃんの初彼氏俺じゃダメ？｣

繋いだままの手から伝わってくる緊張感。思わずぎゅっと力が入ってしまう。そんなん言われたら勘違いするでしょ…いや、真に受けたら負けって分かってっけど…けどさぁ。