第2章 狂おしいほど愛してる(梵天)
ブーッブブーッ
『ん…誰からだろう
ごめん電話出るねっ』
「あ、うん」
スマホが鳴って隣で電話に出る彼女。
『もしもしー…春くん?』
どうやら電話の相手は三途らしい。
邪魔すんなよ…。
『表参道だよ―うん―そろそろ戻るとこだよ
うんうん―忘れてないよ―うん―わかったよ
戻ったらすぐ春くんのとこ行くから―うん―
はーい、じゃあね』
戻ったらちゃんは三途に抱かれるのか。
「今夜は…三途のとこいくのか?」
『やっばい!忘れてたああっ!』
「忘れてたの?」
『だって今日楽しくてさ、春くんのお部屋行く約束してたのにすっかり忘れてたよ…!このまま朝までコースありかなー?とか思ってたとこなのに!ごめん竜くん…そろそろ戻るんでもいいかな…?』
楽しくて三途との約束忘れてたんだ…
ちゃんの一言一言に嬉しくなって落ち込んで本当にガキみたい。今夜三途のところに行っちまうならせめて首輪をつけておこう。
「ちゃん…これあげる」
『あれ…これさっきのお店の…?』
「うん、開けてみてよ」
『…え!これ私が気になってたやつ!
嘘!竜くんに言ったっけ!?』
「いや、ずっと眺めてたからさ。」
『嬉しすぎる…可愛いなあっ
しかもこれ竜くんのリングと同じストーン?』
「あ…うん。ペア…てきな。」
自分でやっといてすごく恥ずかしい…。
『おそろいだね!すっごい嬉しい!』
つけてー、と言って背中を向けた彼女からネックレスを渡されて首元に腕を回す。このまま抱きしめたい気持ちを抑えてさっと着けた。
『ありがとう、どう?似合ってる?』
「うん、すげー似合ってる。綺麗だよ。」
『竜くんありがとう!大切にするね!』
嬉しそうに笑顔を向けてくれたちゃんと店を出て、俺は右の薬指にリングをはめた。