第2章 狂おしいほど愛してる(梵天)
ちょっと待っててね、と彼女を待たせて俺はリングを買う。
「すいません、これにこのリングと同じストーンはめられますか?」
「はい、もちろんでございます。
あちらの彼女さんへプレゼントですか?」
店の奥でショーケースを眺めながら待っているちゃんチラっと見てから店員が微笑んだ。俺とちゃんが恋人同士に見えていることが嬉しくて思わず答えてしまった。
「はい、彼女に…っ」
さっきちゃんが眺めていたオープンハートのネックレスに自分のリングにはめてあった宝石と同じものをはめてもらうようお願いして、柄にもなくペアものを買ってしまった。本当はちゃんに何かプレゼントしたくて自分のものを買う予定は無かったんだけど、せっかく選んでくれたんだ…そりゃ買うだろ…。しかもお揃いとか…そんなんで浮かれて高校生かよって思うけどこんなん初めてなんだよ。
ああいつ渡そうかな…喜んでくれるだろうか。
外に出れば夕陽が沈みはじめていた。もうすぐ戻る時間か…もっと2人でいたいな。そうだ、今度は2人で旅行にでも行こうかな。
『ねえ竜くんあのさ、
戻る前に私の好きなBAR行かない?』
「うん行く!」
そろそろ帰ろうかって言われると思ったのにまだ2人で居られるんだ。今日は頬が緩みっぱだな。昔からずっと惚れてた女。嬉しくて仕方ない。
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「お、ちゃんいらっしゃい
今日は彼氏連れてきたの?珍しいね」
やっぱり恋人同士に見えるのかな
『うん、彼氏の竜胆くん』
「え…っ!」
『うそうそ冗談だよ!
えって言うな!傷ついたああっ』
「ごめ…っ驚いただけ!」
俺のこと彼氏って紹介するなんて…っ
きっと気にしてんのは俺だけなのが悲しけど。
『マスター私いつもので!
竜くんは?』
「あー、俺も同じので」
何頼んだかなんて全くわかんなかったけどちゃんは甘いものしか飲まないし飲めないことはないだろうと思って同じものにした。
「はい、おまたせ」
『ありがとうっ』
それから俺たちは多分随分と飲んだ。
だけどネックレスを渡すタイミングをぐるぐる考えすぎて全く酔わない。