第10章 約束 ( 北信介 )
運ばれてきたタルトに目を輝かせている。小さい頃に親が食べとったものやし、大人の食べ物ってイメージがついとる。
『わぁ…美味しそうやな…っ』
「美味しそうやね、食べよか?」
『うんっ』
美味しそうに嬉しそうにケーキを頬張る彼女を見ていると俺まで幸せな気持ちになるし、やっぱりの隣には俺自身がいたいと強く思う。
『早く信介くんも食べてみてやっ』
「うん、今食べるな」
にはいつだって笑っていて欲しいし、1番幸せになってほしいと本気で思っとる。でもそれは他の誰かとではなく俺が幸せにしたい。
『どう??』
「ほんまや、めっちゃ美味い」
『やろ!?』
「なんや、製造者みたいな言い方やな笑」
『えへへ、でもほんま美味しい…っ』
「母さんたちにも買って帰ろか」
『せやね!きっと喜ぶで〜』
一緒におりたい。離れんで欲しい。俺を選んで。こんなに欲しいと思うのは後にも先にもしかおらんよ。
side 宮侑
「なあツムまだあ?」
「ちょっと待ってや!!」
「さっきから待ってるやろが!」
だいぶボロくなってきたシューズを買い替えに大きな駅までサムと買いに来た。俺の中ではこの2択やねんなぁ。サムは早々に決めて俺を急かす。
「決めた!こっちにする!」
「ういー」
「あとなんやっけ。買ってこい言われたやつ」
「あれや、ご飯茶碗。この前ツムが割ったから新しいの買うて来いって。」
あー…そうやった。サムと喧嘩してカッとなってついなぁ…。まあもう長いこと使うてたからちょい欠けとったし寿命や寿命!ええタイミングってことで!
「茶碗ってあれやろ、なんちゃらカフェの隣にあるとこやろ?おっしゃれな食器並んどるとこ。男子高校生がいくとこちゃうやん。」
「文句いうなや、壊したんツムやろ」
テキトーにええ感じの選んでちゃちゃっと帰ろ。
ぼーっと歩く俺の視界に見覚えのある可愛らしい人が映る。え、あ…っ!さんや…っ!
俺たちの目指す食器屋の隣にあるケーキが有名なカフェ。窓際の席に座ってケーキを食べとるさんを見つけた。休日に会えるなんてラッキーやと思ったけど…北さんとおるやん。