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今宵は誰の腕の中で眠りますか⋯?

第10章 約束 ( 北信介 )



朝、信介くんよりも早く目が覚めた。

当たり前のように彼の腕に抱かれて朝を迎える。

「…ん」

『信介くんごめんね起こしちゃった…?』

「…」

『うん?』

「……どこも…行かんで…」

『信介くん?』

「……」

寝とる…?

私の名前を呼んだ信介くんは規則正しい寝息をたてている。寝言で私の名前…どこにも行かんでって。私のせいや。口では平気なフリをしていたけどきっと平気なんかじゃない。

『ごめんね信介くん…』

せめてもの謝罪。
彼の背中に腕を回してきゅっと抱きしめる。

「……?」

『おはよう信介くん』

うすらに開いた瞳が私を捉えて微笑む。
そしてすぐ不安気に揺れた。

「すま…ん、なんか嫌な夢見た気がして。」

私の存在を確かめるように抱きしる信介くんの腕は少し震えていた。

『私のせいやんな…ほんまにごめん。』

「…全部がのせいなわけないやろ。ちゃんと向き合うてくれたんに離さへんかったのは俺や…すまんな。」

『私…ほんまに信介くんのこと好きやで。』

「分かっとるよ…ちゃんと分かっとる。」

信介くんが好き。何年想い続けてたかなんて分からないくらいに信介くんしか見とらんかった。信介くんを好きじゃない私なんて想像できんくらいに…ほんまに好きやねん。

『…すき。』

「俺もめっちゃ好きやで。」

この人の隣は安心する。
自分の居場所はここだと思える。

これから先もそばにいさて欲しいと我儘になってしまう。

柄にもなく 好き だと口から零れるのはきっと伝わって欲しいから。あんなことをしてしまったけど、信介くんのことが好きやってちゃんと伝えたいから。

「そや、次の休み久しぶりに…デート行かへん?」

『デート?』

「俺行きたいとこあんねん。
もきっと喜ぶとこやから行こ?」

『信介くんとならどこでもええよ』

「そんなん言われたら照れるわ」

『楽しみにしてるね』

「俺も」

何を着ていこうか、髪型はどうしようか…
メイクを変えたら気づいてくれるだろうか。
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