第10章 約束 ( 北信介 )
数十分前にからメールがあった。今から帰ります、と書かれた簡素なメール。俺はそれに 駅まで迎えに行く。 とだけ返した。
侑と2人きりになる時は必ず事前に俺に言ってくれるようになった。それでも不安は拭えへん。少しでも俺から気持ちの離れてしまったをずっと自分に縛り付けてええんかと葛藤した。侑とおったほうがは幸せなんとちゃうかって。
『信介くん!ごめん待った?』
考え込んでいた頭にすっと入ってくる愛しい声。
「今来たとこや。おかえり。」
『ただいま。お迎えありがとう。』
ホームから走ってきたのか少し息があがっとる。
「…走ってきたん?」
『え、うん』
「なんでや?」
『や、だって…寒い中待たせとったら嫌やし。』
「は優しい子やなぁ。」
あぁ、やっぱ離してあげられへんなあ。
俺のために走ってきてくれた彼女が愛おしくてたまらん。
「そや、今日俺の家カレーやで」
『ほんま!信介くんママのカレーめっちゃ好きやねん。食べに行ってもええ?』
「そのつもりで用意してんで」
『わーいっ』
のこと1番よう知っとるんは俺や。
だから俺を選んで…。
家に帰ると夕飯が用意されていて2人で並んで食べた。ほんま美味しそうに食べとって…がおるとばあちゃんも嬉しそうや。
「ちゃん泊まってくやろ?」
『あー…』
「泊まっていきよ、信介の部屋に布団敷いといたで」
『そんなら泊まっていくね。ご飯もありがと、信介くんちのカレーが1番好きやで私!』
「あらあら、そんなこと言うて…ほんま相変わらずええ子やわぁ!嬉しいありがとさん。」
母さんはをめちゃくちゃ可愛がっとると思う。昔から口癖のように あんなええ子離したあかんよ って言うてるくらいや。俺からしたら言われんでも分かっとる…もちろん離さへんつもりや。