第10章 約束 ( 北信介 )
手放さなきゃいけない。
こんな私が信介くんに愛される資格なんてない。
それなのにこの先の快楽を知ってしまっている私の身体は信介くんを求めてしまう。ダメだとわかっているのにこの人が欲しい。手離したくないと思ってしまう。
「また考え事しとるんか⋯?
俺の彼女は随分余裕があるんやなあ」
『別にそういうわけじゃ⋯っぁあ』
「俺ももう限界や⋯挿れたい⋯」
反り返った自身に手を添えてワレメに添わせる。
『あ⋯待って⋯信介くんゴム、は?』
「もーつけてんで。
なあもう我慢出来ひん⋯挿れてええ?」
いつの間にゴムをつけていた信介くんが先っぽだけを私の中に出し入れしながら余裕のない表情でキスを降らせる。
『スウェット⋯脱がへんの』
いつもは全て脱いでいる信介くんはが今はスウェットを太ももまでしか脱いでいない。
「脱ぐ余裕あらへん⋯すまんもう⋯っ」
『っぁあ⋯あ、んんっ』
「っく⋯あ」
普段は優しく優しく抱いてくれる信介くんがガツガツと激しく腰を打ち付ける。
『んっあ、はげし⋯いっ』
「すごい締めつけやで⋯激しいの好きなん?」
『んっ信介く、ん⋯っ好き、すき⋯っ』
「それは俺の事?それとも激しいのが?」
動きを止めたと思えば奥をぐりぐりとしたまま引いてくれないせいで頭がチカチカとしてくる。
『あ⋯あっ、それやだぁ⋯ッ』
「答えて⋯なにが好きなん?」
『好き⋯っ信介くんが好き⋯!』
「ん、それが聞きたかった⋯動くで?」
満足そうに微笑んだ信介くんがゆるゆると優しく律動を再開した。いつもみたいに優しい行為。彼に抱かれていると実感できる。
咄嗟に口から出た “好き” は本心。
信介くんが好き。大好きすぎて苦しい。だから宮くんを思ってしまう私を許さないで⋯。
『あ、あ⋯気持ち、い⋯っ』
「俺も気持ちええ⋯っは」
優しく、でも確かにイイところを責め続けられては私の限界も近い。きゅうきゅうと彼のものを締め付けているのが自分でよく分かる。