第10章 約束 ( 北信介 )
悲しそうに、それでも視線を逸らさず私を見つめる信介くん。腰に回された腕が緩まる気配はない。
『帰、る⋯』
「いやだ帰らんといて⋯」
『でも⋯っ』
「一緒におって。今に帰られたら耐えられへん。」
私を抱く腕にいっそう力を入れて抱きつく信介くん。こんなに壊れてしまいそうな彼を見たのは初めてや。
『分かった⋯一緒におるよ信介くん。』
「ありがと。⋯好き。大好きやで。」
私の胸元に顔をうずめて好きだと繰り返す小さな声。手放さなきゃいけないのに、気づけば私の手は彼の頭をサラサラと撫でていた。
『ごめんね⋯ごめん信介くん。』
「一緒におってくれたらそれでええ⋯。俺は絶対と離れへんから。もっと頭撫でてや。」
抱き締め返して綺麗なシルバーの髪に手ぐしを通すように撫でると、顔を上げた信介くんの唇が重なって甘く溶かされていくように求められる。
『ん⋯っん』
「は、あ⋯好きや、っは」
『んぅ⋯待って⋯苦し、い』
「待たれへんよ、の口んなか熱い⋯」
『んぁ⋯んっ信介くん⋯』
「もっと呼んで俺の名前⋯⋯」
『しん⋯すけくん⋯っ』
腰にまわっていた手がトレーナーの中にするりと滑り込んで素肌を撫でる。ぷちん、と下着の留め具を外されて締めつけを失った胸がふるりと揺れた。
『⋯っぁ』
「すまん、我慢できそうにないわ」
私を抱えたまま布団へと押し倒してとろけるようなキスを何度も繰り返す。いつの間に脱いだのか程よく鍛えられた上半身があらわになっていて、熱を持った素肌がぴたりと触れる。
『ま、って⋯私さっき宮くんとキ⋯スしたのに⋯っ』
「今の目の前におるんは俺やで。の彼氏は俺や。黙って抱かれたらええ⋯いっぱい気持ちよくしたるからな。」
『んん、ぁ⋯あっ』
「ええ声やなぁ⋯たまらんわ⋯」
『んや、あ⋯だ、め⋯っ』
あっという間に脱がされたトレーナーと意味をなさなくなった下着をずらされて敏感な蕾を飴玉のように口内で転がされる。