第2章 狂おしいほど愛してる(梵天)
コンコン
「どーぞ」
ガチャ
ドアが開くと同時に愛おしい人が入ってきた。
『失礼しまーす
竜くん朝食ありがとうね』
「あ、全然だよ俺は今日だけだし
いつもしてくれてるじゃん」
『へへ、ありがとうっ
あ、あの今日って任務内容どんな?』
「あー、それがさあ…
俺今日OFFなんだよねえ」
『…?任務ないの?』
「うん、多分2人でOFF過ごせって意味だと思う」
多分首領は俺の気持ちに気づいてる。
知っててと過ごす時間をくれたんだ。
『あー、なるほど!
じゃあデート行こうよ!』
「デ、デート?」
『うん、行こ!
はやく準備してね!』
バタンっ
ちゃんとデート…。
準備してねと言い終わると俺の部屋を出ていったちゃん。準備しに自分の部屋に戻ったのかな。とりあえず俺も着替えるか…。
悩んだ末、深紫のセットアップに身を包んでちゃんの部屋に向かうと、もうメイクを終えていてベッドに服を2つ並べて悩んでいた。
『あ、ごめん竜くん!
服が決まらなくて…どっちがいいかな?』
「いや、全然いいよ
俺と出かけるために悩んでるんでしょ?」
『竜くんの隣歩くんだもんオシャレしなきゃ!』
あぁぁぁ嬉しい…可愛い…ニヤける…。
「どっちがいいかな…一緒に選ぼうか」
にやける顔を必死に手で抑えて並べられた服を眺める。
ひとつは、ワインレッドのセットアップ。
ショート丈のジャケットにマーメイド型のロングスカート。中には白のシャツとパールのネックレスを付けるみたい。
もうひとつは丈が左右非対称でウエストが絞られた真っ白なワンピース。こっちは首元にピンクのスカーフを巻くらしい。
「うーん…俺が深紫のセットアップだから
ワインレッドのセットアップだと
シミラー的で合うと思うけどどうかな…?」
『じゃあこっちにするね!竜くんありがと!
着替えたらすぐ出るから待ってて!』
もし女に“どっちがいい”とか聞かれたら面倒臭いもんだと思ってた。選んだらそっちの気分じゃないとか言われるもんだと思ってた。けどちゃんはどっちでもなかった。どっちがいいかと聞かれれば一緒に選びたくなるし、俺が選べば笑顔でそれを着ると言ってくれた。あの噂はきっと、こんなにも好きな女の前では嘘なんだな。