第10章 約束 ( 北信介 )
「ただいまー」
やっぱり駅までしか送らせてくれへんかたさんとわかれて家に帰ると玄関にはサムの靴があった。
「なあサム!探したんやけど!
ていうか追いかけたんやけど!?」
「んーー?」
勢いよく部屋のドアをあけると寝っ転がってゲームをしとるサムが俺の顔も見んとゆるい返事をした。
「んーちゃうわ!さんと校内入っていくん見たで!やから追いかけたんに先帰ってるやん!」
「ツムが俺のこと探しとるん気づいたからさんと話すチャンスあげたんやん。感謝してほしいくらいやわ。」
「え、そうだったん?
なんやねん回りくどいわ、んーまあでも話せたから感謝するわ。たまにはええことするやんサム〜」
「手のひら返しがすごいねん笑」
なんやサムええことするやん!
さすが俺の弟やわ!
「で、さんと話せたん?」
「おん、おかげさまで!
しかも幽霊?男の唸り声みたいなん聞こえた言うて教室から飛び出してきてん。勢いとはいえ抱きつかれてん俺!」
思い出しただけで心臓ドッキンドッキンや!
「あ、俺も聞いたで唸り声」
「えほんま?ほんならガチやん」
「いや、多分やけどツムの声やったわ。なんか、サムーサムーいうて。ムー伸ばしすぎやねん。ムーうう゛ってなってたで。」
「…ほんなら俺やな。無駄にさん怖がらせてしもたわ。悪いことしてもうたなぁ。でも怖がってるさんめっちゃ可愛いかったわ!」
「はいはい」
こんな冷たい態度でも、さんと話す機会をくれたんは紛れもなくサムや。今日のところはなーんでも許したるわ!