第10章 約束 ( 北信介 )
私を抱きしめるユニフォーム姿の信介くん。人は来なさそうな場所やけど、外やし明るい時間やし…見られたらと思うと恥ずかしい。
『ちょっと信介くん…っ?』
「もう少し。」
『外やで…誰か通るかも…』
「勝つから…見とって。」
『うん、見とるよ。』
信介くんも緊張とかするんやろか。
私を抱きしめる腕に力がこもっている。
「」
『どうしたん?緊張しとる?』
「緊張はしてへんよ。
練習でやれることは本番もやれんねん。」
『ははっ、さすがやな。』
「そんなんが言いたいんやなくてさ。
あー…、もうちょっと顔見せて?」
『うん?』
私を抱く腕の力を緩めて体を少しだけ離すと、優しい手が私の頬を包んで視線がぶつかる。
「ほんまによう似合っとるわ、その髪型もメイクも。」
『もう…さっきも聞いたって。照れるよ…っ』
「めっちゃ可愛ええ。
帰ったら抱かせて…?」
『何言って…ひぅ…っ』
ぽすっと私の肩に頭を預けた信介くんが首元に唇を添わせ、小さなリップ音を鳴らした。
「反応もいちいち可愛ええ…ははっ」
『も、もう…っからかわんといてや!』
「からかってへんよ。
めっちゃ好きやで。」
『わ、私もや…』
「そろそろ行かんとやな…からキスしてくれへん?そしたらめっちゃ頑張れるわ。」
『んぅ…じゃぁ、目ぇ瞑ってて…?』
「うん、瞑るからしてや」
目の前に差し出された唇。長いまつ毛に綺麗な銀髪。見れば見るほど惚れ惚れする。かっこええな。それにユニフォーム姿なんがイケナイことをしとるみたいな気持ちになる。
信介くんの頬に手を添えて触れるだけのキスをする。
「もっかい」
『…っえ?』
「もっかいして」
言われるがままもう一度唇を重ねると、今度は私の後頭部に回された信介くんの手が離れることを許してくれない。
『ん…っんぅ』
「はは、顔真っ赤やで笑」
『だ、だって外やのに…っ』
「これでめっちゃ頑張れるで。ありがとうさん。」
『ま…負けたら許さへん…っ』
「負けへんよ、じゃあ行ってくるな」
『頑張ってね』
外でキスとか…心臓バクバクや。
私はやっぱり信介くんが好き。こんなにドキドキしとるんやもん。それに頭の中信介くんでいっぱいや。