第10章 約束 ( 北信介 )
浮ついた気持ちのままフラフラと体育館にもどる。
「侑どこいってたの」
「外の水道で水浴びとった」
「ふーん、それだけ?」
「え?」
「いや、なんでそんなニヤけてんのかなって」
「え、俺ニヤけとる?」
「だいぶね」
角名に言われるまで気づかんかった…。
さんのこと好きすぎやん。
「実はな、たまたまさんに会ってん。話しかけてくれて、ほんま久々会話っていう会話したんよ。まあ、若干冷たかってんけどな…。」
「なるほどね、良かったじゃん話せて」
「おん、やからまた頑張ろかなって。単純やけど。」
「単純なくらいが侑らしくていいよ」
「ディスやん」
「違うよ、応援してるってこと」
「ありがとな角名」
「うん、頑張ってね」
ほんまええ友達もったなぁ。
北さんには悪いけどここからや!!
絶対振り向かせたる…!
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宮くん前より逞しくなったな。
不覚にもかっこいいと思ってしまった。
話しかけるつもりなんてなかったのに。
落っこちたタオルをそのままにできんくて、思わず話しかけてしもうた。宮くんめっちゃ驚いてたな。ずっと避けてたのに…あんな反応してくれるんやな。
「俺のこと…その、嫌いですか。」
嫌われたと思わせても仕方のない避け方をしてた。嫌いだと言ってしまった方が良かったのかもしれないけど、何でか言えなかった。
良かった、と安心する宮くんを見て安心してしまった。信介くんしかおらんはずの私の心に簡単に入り込んでくる宮くんを私は避けることしかできんから…今日話しかけたのはたまたまやし。明日からはまた話さんようにしとこう。