第10章 約束 ( 北信介 )
部活終わり、部室から出るとまだ明かりのついた体育館に男バレが見える。インハイでるんやっけ。最近めっちゃ力入っとるよなぁ。
あ、宮くんや。
いつ見てもすごいサーブ。
綺麗なセットアップ。
くるりと振り返った宮くんが視界に私を捉えてブンブンと手を振る。咄嗟に逸らした視線を戻すと信介くんに怒られとる。
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「さんおはようございます!」
『…っおはよう』
「あの、今日の昼休み 『急いどるから行くね』」
「あ…はい…っ」
こんなん避けてるだけや…でもこうでもせんと宮くんのこと考えちゃうから…。
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「さん!お昼一緒に食べよ!」
『ごめん、もう食べちゃったから友達とトレーニング室行ってくる。』
「そっか…そしたらまた今度!」
『うん。』
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「さーん!
駅まで一緒に帰ってええですか?」
『友達と遊んで帰るからまた今度ね。』
「あ、そっか…わかりました!」
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宮くんを避けたまま季節は夏になった。私を見かけたら挨拶で終わる程度になった宮くんに寂しさを感じてる自分が嫌になる。そうなるように仕向けたのは私なのに。
「最近宮くん来ないやん」
『そうやね』
「喧嘩でもしたん?」
『してへんよ』
「ふーん、俺の魅力に怖気付いたんかな」
『そんなわけないやろ』
クラスメイトも気づくほどに宮くんとの絡みが減った。
「帰ろ」
クラスまで迎えに来てくれた信介くんが私の荷物を持って前を歩く。
「神社のお祭り寄って行かん?」
『あ、それ私も思っとった!
毎年一緒に行ってるもんね』
「今年は幼馴染ちゃうくて恋人同士やで」
『…改めて言われると照れる。』
「去年の俺に教えてあげたいわ。来年こそは彼女になったとって思っとったからな。」
ずっとずっと好きだった人とやっと結ばれたんやから…こんなに幸せなことないやん。なのになんで…あの人のことを考えちゃうの。