第10章 約束 ( 北信介 )
駅で宮くんとわかれて家に帰る。
信介くんに会いたいなぁ。
先に出たんやったらもう家着いとるかな。
「」
後ろからかかった声に振り返ると今1番会いたかった人がおった。
『信介くん!同じ電車やったんかな?』
「多分俺が1本あとやな。帰ったらに会いに行こ思って走ってたから。」
『宮くんから信介くん先に出たって聞いてたんよ』
「先に出たんはほんまやで。
なんかの後輩に呼び出されてん。」
『女テニの?仲良い子おったっけ?』
私の後輩に信介くんと仲ええ子おったかな。そもそも女の子と話しとるイメージあらへんからなぁ。
「いや、手紙と連絡先もらってん。」
『なるほど…。』
ひとり心当たりがある。
信介くんのこと好き言うてた子おったわ。
連絡先なら自分で聞きやって言うたもんな私。
「大事な人がおるからって断ったんやけど、これはもらってくれって引いてくれんくて…とりあえず受け取ってきてしもうたわ。」
『そっか。』
「大事な人って彼女さんですかって聞かれてん。そうやでって言ったけどとは言ってへんから安心してな。」
『別に隠してへんよ?』
「そうなん?なら言えばよかった。」
『自分から言うのはちゃうかなって。聞かれたら答えるんでええかと思って。それにあの子が信介くんのこと気になっとるんは前から知っとったから…言いずらくてな。』
「そうだったんや…俺は別に誰に知られてもええし、むしろは俺の彼女やでって言いふらしたいくらいや笑」
ニコニコと私の頭を撫でながら言う信介くんに心臓がきゅうっとなる。こんなに好きなのに宮くんが頭をよぎるんは何でや。
「手繋いで帰らへん?言うてももう家着くけどな」
『うん、繋ぎたい。』
「の手ちっさいなぁ。
昔は同じくらいやったんに…可愛ええ。」
『そんなに変わらへんよーだ』
「でも俺の方が大きいやろ?」
『男の子やもん!でも…昔と比べたらほんまに大きいね。男の人の手って感じや。かっこええわ。』
「にかっこええ言われたら嬉しいわ」
信介くんの手はめっちゃ大きくはないやんな。…そういえば宮くんの手大きかったなぁ。また宮くんのこと考えて…嫌やな。