第10章 約束 ( 北信介 )
『ほんまに平気やから教室戻り。
そろそろチャイム鳴るで。』
「うん、またねさん。」
私の頭を撫でて2年フロアへと帰っていく宮くん。胸が苦しい。ざわざわがどんどん大きくなる。
「なあ」
『なんや。』
「なんで宮くんのこと選ばへんの?
北よりええ男やと思うけど。
まあ俺の方がええ男やけどな!!」
『…私は信介くんがええんよ。』
「ふーん」
宮くんにはなるべく会わんとこ…かな。
私は信介くんだけ見ていたい。
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side 宮侑
バレーばっかりやった俺の頭の中は最近さんばっかりや。もちろん部活はちゃんとやっとる。調子もええ。
「侑また考え事?」
「あのさ、角名は好きな人とかおらへんの」
「好きな人か…いないかな。
侑はさんとどう?
先輩北さんと付き合ってるんでしょ。」
「せやねん、北さん俺と真逆のタイプやし強敵やわ。でもめっちゃ好きやねん…もうちょい頑張るわ。」
分かってるはずなのに、北さんと付き合うとるって改めて言われると苦しくなる。希望なさすぎやろって笑えてくる。
「俺は侑のこと応援してるから」
「ありがと角名。」
「喋っとらんと体動かし」
「は、はい!すんません!」
ひぇえ怖っっ!北さん怖っ!!
睨まれたら石になってしまいそうや!
ほんで角名逃げたやん!アイツ!
「侑」
「はい…っ」
「今考え事してる暇あるんか」
「な、ないです!」
鬼やんもう!!怖いて!
やっぱこの人にさんは渡されへん!もう取られてますけど!取られるどころか俺にチャンス巡ってこんかったけど!
「笑っとるけど角名もやで」
「…すいません。」
はーん!角名怒られてやんのー!
「侑」
「すんません。」
俺この人に勝てるんか…?