第10章 約束 ( 北信介 )
家に帰ってきてもぐるぐると宮くんのことを考えてしまう。私は信介くんの彼女で、信介くんのことがずっと好きで…なのにどうして宮くんのことばっかり考えてるの。
「、はいってええ?」
『信介くん?ええよ』
部屋に入ってきた信介くんの手にはマグカップが1つ。
「ご飯食べとらんっておばさんから聞いたけど体調悪いん?」
ベッドに座る私の前にしゃがんで子供を宥めるように頭を撫でてくれる。
『ううん、多分生理なだけやねん。
お腹痛くて…でも全然平気やで。』
「薬は?」
『ちょうど切れててないねん。』
「ほな買ってくるから温かくして待っとき」
信介くんが手に持っていたマグカップにはホットミルクが入っていて、それを渡すと部屋を出ていった。
暫くして戻ってきた彼が袋からなにやらいろいろ出し始める。薬に始まってゼリーやら私の好きなお菓子やら。
『薬よくわかったね。
他もこんなに…ありがとう信介くん。』
「の事ならなんでも分かるで」
『さすが信介くんやな』
「このゼリーは昔から体調悪いといつも食べとる。このグミはちっちゃい頃からのお気に入りやろ?そんでこっちは最近よく食べとるやつ。」
『うん、全部正解。すごい。』
「のことめっちゃ好きやねん。
ちゃんと伝わっとる?」
『伝わっとる…ありがとう。』
こんなときでさえ宮くんのことを考えてる。きっと弱ってる時に気づいてくれたかやらや。だって信介くんのほうが私の事なんでも知ってるやん。こんなに想ってくれてるやん。信介くん以上の人なんておらんはずや。
「キスしてもええ?」
『…っうん』
「あかんかったら言ってや?」
一瞬の戸惑いさえ見抜く信介くんに隠し事なんてきっとできひん。だから今の私は何も見えなくなるくらいに信介くんだけで満たされていたい。
『あかんわけないやろ…してほしい。』
「ん、…好きやで。」
『私も…んッ好き…』
もっと私を求めて。離さないで。
信介くんしかいらないはずやねん。
もっともっと…