第10章 約束 ( 北信介 )
弱々しく抵抗する彼女の脚に手を添わせながら時折唇を重ねる。その度にきゅっと力の入る小さな体が愛おしい。
「シた日から全然目ぇ合わせてくれんから寂しかった」
『そ…れは思い出してまうからや』
「思い出してまたシたくなればええねん。
なんべんでもシたるから、な?」
『や…待ってほんまに…っ
せめてお家にしようや信介くん…っ』
ショーツに指をかけた俺の手をさすがに、と止める小さな手。
「手熱いで。ほんまは期待しとるんちゃう?」
『し…てへん言うたら嘘になる。
けどここじゃやだよ信介くん。お願い…っ』
うすらと濡れた瞳に懇願されては俺が引くしかあらへん。
「…ごめんな。帰ってからたっぷりシよか。
好きすぎて独り占めしたなったんよ。」
『私だって信介くんのことめっちゃ好きやから!』
「え?」
『…っん』
俺の胸元に手を置いた彼女が背伸びをして触れるだけのキスをする。
「…っえ、」
『たまには私から…どうかなって…?』
「さすがに可愛すぎや…。」
ほんま可愛ええ。なんや今の反則やろ。
慣れへんことして顔真っ赤になっとるし。
『も、もうほんまにHR始まるから行くで…!』
「あ、待って」
『なに?』
ドアに手をかけた彼女の腕を引いて引き寄せると、真っ赤な顔で不思議そうに俺を見つめる。
「好きやで」
『な…っもう信介く、んぁ…ッ』
「隙ありやな、ごちそうさん」
ちゅ、と軽く触れるとさっきよりも紅くなった彼女がぎゅっと抱きついてきた。
『もう…信介くんほんまずるい。』
「お互い様やで?」
『はよ行かなあかんのに…ばかぁ』
「そんな紅い顔してたら何してたかバレてまうな」
『やだ…っ恥ずかしいよ!』
「ほんま可愛ええ、他の男には見せんで?」
コクン、とうなずく彼女の頭を撫でてお互いの教室へと戻る。はよ放課後ならへんかなあ。