第10章 約束 ( 北信介 )
宮くんにちゃんと話せた。
応援はできひん言うてたな…。
諦めんって…どういうことやろか。
ご飯を食べてお風呂に入ってベッドでゴロゴロしていると枕元に置いた携帯が振動した。
『はーいもしもし』
《もしもし何しとった?》
優しく耳に届く信介くんの声。
『なんもしとらんで、ベッドにおった』
《そっか。
あかんな、声聞くと会いたなるわ》
『私も信介くんに会いたいよ』
《行ってもええ?》
『そんなん聞く仲ちゃうやろ』
《ははっ、そうやな笑
じゃあ行くから起きててな》
『うん、待っとる』
今から行くと約束をしてから信介くんが家に来るなんて初めてかも。なんかそれはそれで変に緊張してまうな。
コンコン、部屋のドアがノックされる。
『どーぞ』
「ごめんな寝るとこやった?」
『ううん、ほんまにゴロゴロしてただけ』
「なんか急に声聞きたなって。
でも声聞いたら会いたなってもうたわ。」
照れたように笑う信介くん。
心臓がきゅうっとなる。
『あ、宮くんにちゃんと話せたよ。』
「そんなら侑と帰ってきたん?」
『うん。最後やでって言ってな。
私には信介くんがおるから、もう宮くんとは帰られへんよって伝えた。』
「そっか」
安心したように笑って私の頭を撫でる。
ストン、と隣に腰をおろした信介くんの顔が近づいてきて触れるか触れないかの距離で止まった。
『…?』
「からキスしてや」
『…っえ、む…無理やっ』
「してくれへんの?」
『はずかしい…やん。』
「目瞑ってるから、な?」
そう言って伏せられた瞼。
ほんま綺麗な顔しとるわ信介くん。
「…」
『す、するから待ってや…!
絶対に目開けんといてな!』
「ふはっ、うん…開けへん」
そっと頬に手を添えて触れるだけのキスをする。
『…で、できたで。』
「もうおしまいなん?
随分短いキスやったなあ」
『も、もう無理や…っ心臓ばくばくやねん!』
「ほんま可愛いなは。」
『もう信介くん何言って…っン!』
再び重なった唇…今度は信介くんから。
はむはむと食べるようなキス。
頭がぼーっとする。