第10章 約束 （ 北信介 ）

「俺はが好きやねん。」

『…へ？』

言ってもうた。

があまりに侑ばっかやから。

今日だって友達との約束いうて侑と遊んどった。隠されたんがショックやったし、知った時は苦しかった。

「…？」

さっきまで泣きそうな顔をしとった彼女が俺を見つめて放心状態になっとる。タイミング間違えたやんな完全に。

『あ…頭が追いつかんくて、えっと今何て言ったん？』

「のことが好き言うたんよ」

１回言ってしもうたんなら2回も3回も一緒や。

『き、聞き間違いちゃうかった…。
信介くんが私を…？うそ、や。』

「なんで嘘やと思うん。
好きな人おらんって言うたからか？」

『ちゃう。好きな人おるんは知ってたんよ。』

え、なんで知ってるんや。

「なん、でや…？」

『信介くんが告白されとんの聞いてしまって…あの時近くにおったんよ。黙っててごめんなさい。』

「そうなんや。別に俺は聞かれてもええけど。…あの時言ってた好きな人はの事や。」

『そんなん…うそやろ…っ
今までそんな素振りひとつもなかったやん。』

そもそも女子とおること自体ないやん俺。
特別やねんだけが。

「素振りとか見せんでも伝わっとる思っとった。ちっちゃい頃からしか見えとらんかってん。もう伝わっとるって…勝手に思ってたんよ。」

『信介くん…』

｢この部屋に飾ってある写真もこれから増えてく写真も隣には俺がおりたい。｣

『で、でも宮くんに頑張れって言うたやん。私と仲良うなれるように頑張りって…っ』

｢あれは…俺がガキやっただけや。
あんなこと思ってへんよ。｣

『なに…それ。』

｢隣におれるんが当たり前やと思っとった。侑がと話すようになってめっちゃ焦ったわ…。｣

今も焦っとる。
ほんまはもう付き合うてんのちゃうかって。の気持ちが侑にとられてるんちゃうかって。そうじゃなくてもモテんねん。じっと待っとるだけじゃあかんかったんよ。