第10章 約束 ( 北信介 )
家に帰ってすぐ風呂に入って、髪もちゃんと乾かさんと気がづいたらの家のインターホンを鳴らしとった。
「信介くんやん、どないした?まだ帰ってきてないんよ。待つんやったら中入り!」
「最近俺の家ばっかやったから、たまにはの部屋でお泊まり会でもしようかと思って来てん。」
気づいたらここに来とったんよ。
なんも考えんと来てもうた。
「相変わらず仲ええなあ。お母さん嬉しいわ。
そや、信介くんもうご飯食べたん?」
「いや、帰ってすぐ来たからまだやねん」
「ほんまに!が帰ってくるまで食べるん待とうか思っててんけど、お腹すいてもうたから一緒に食べよか!」
「ええの?」
「なに遠慮してんねん、お茶出して待っとって!」
お茶を出しておいてと言われ、勝手に冷蔵庫を開けて勝手にコップを取って準備をする。家族ぐるみで仲がええし、と1番仲ええのは自分やって自負はあんねん。
それやのに何を焦ってるんやろ。
「うちの子彼氏いたことあるんかな?お母さんにそういう話全然してくれへんねん!信介くんみたいな彼氏つれてきてくれへんかなあ」
「に彼氏は俺も聞いたことあらへんけど、おばさんは俺でええの?」
食事中に出された話題は恋バナ。
「ええもなにもうちの子が信介くん以外の男の子とおるんほぼ見たことないで。他の子連れてくる想像ができひんなぁ。」
「は人見知りやからな。」
「せやな。昔っから信介くんがおらんとお祭りでおつかいもできひんかったしなあ。」
「懐かしいなぁ」
親からのお墨付きやってもらっとる。
「ふー、お腹いっぱい。
私片付けちゃうから信介くんの部屋で待っとき。もうすぐ帰ってくるやろ。」
「ありがとう。ごちそうさんでした。」
の部屋の窓辺には写真が飾ってある。全部俺との写真。赤ちゃんのときから高校の入学式んときのもある。一緒にいった家族旅行も初めていった海で撮った写真も。
ずっと飾ってあるどころか時が経つにつれ増えていく。このまま俺とだけおったらええのに。
ベッドに腰掛けながら写真を眺めていたら急に眠くなってきて、そのまま瞼を閉じた。