第10章 約束 ( 北信介 )
『ただいま、信介くん』
「……スー」
あれ、寝とる。
私のベッドに寝転がってスヤスヤと眠る信介くん。お風呂に入ってから来たんやろか。髪の毛がほんの少し湿っている。ちゃんと乾かさな風邪ひいてまうよ。
でも信介くんの寝顔久々見た気するわ。
いつも私が先に寝て後に起きるからな。
部屋に置いてあるドライヤーをコンセントにさして1番弱い風を優しく当てる。昔はよく私の髪乾かしてくれたなあ。
暫くして瞼があがった。
「…ん、すまん寝とった」
『ええよ、部活で疲れとるやろ。
でも髪の毛ちゃんと乾かさんと風邪ひくで?』
「あぁすまん、あれ…乾いとる。
がしてくれたん?」
『濡れたまま放っておけんもん』
「ありがとう」
『それで、なんか私に用あったん?』
私の部屋で待っとることなんてあんまあらへんから、よっぽどの用事なんやろうけど。
「あ、いや特になんでもないねん」
『え?』
「なんでもないねん、ちょっと顔見たなっただけや。」
え、どういうことや…?
宮くんとの関係を気にしたり急に会いに来たり…。そんなん勘違いしてまうやん。
私は信介くんの特別なんちゃうやろかって思ってしまう。
信介くんには好きな人がおるのに。
傷つきたくないよ…。
『そ、そうなんや。すぐ帰るん?』
「いや、今日はんち泊まる言うてきた。おばさんの許可もちゃんと貰うてる。」
『え、え?泊まってくん?』
「あかん?たまにはの家もええかなって。いつも俺ん家でつまらんやろ。」
『あ…あかんくないよ!』
落ち着け私。泊まりは今までだって何回もある。ついこの前だって信介くんのベッドで寝たし…それが私の部屋になっただけ。
私の家でお泊まりするんは久々やから緊張しとるだけや。大丈夫、普通にしてたらええねん。
「はよ風呂入ってき?待っとるから」
『あ、うん。いってくるね』
な、なんやあの優しい顔は…っ!
どういう事や信介くん。
恋の相談とかされたら私無理やで!?
応援なんてできひんよ…もーーー!