第10章 約束 ( 北信介 )
『もう大丈夫…ありがと。』
しばらくの間、トクトクと早い鼓動を繰り返す宮くんの心臓の音をきいていた。震えが落ち着いていくのが分かる。
「家まで送らせてください。」
『あ、いやでももう遅いで』
「お願いやから送らせて。心配で死んでまう。」
そんな心配そうな目で見られたら断れないやん。
『宮くんは優しいな』
「さんは全然わかってへん。誰にでも優しいわけちゃいます。好きな人やからですよ!!」
『ありがとう』
「絶対惚れさせますから」
『そら楽しみやわ』
「ねえさん」
『なに?』
「これから帰りは俺が送ってええですか?
ずっととは言わんからしばらく。」
『…さっき助けてくれただけで十分やで。きっとあの人もう来うへんよ。』
毎日ハードな練習の後にわざわざ遠回りなんてさせられへんよ。それにいざとなれば信介くんと帰ればええから。
「もしまたなんかあったら嫌やねん…。あんなん見てしまったら心配でしゃあないです。」
『毎日部活で疲れたあとにそんなことさせられへんよ。宮くんちゃんと休まんと。』
「だめですか?」
『だめとかちゃうくて…宮くんが大変やろ』
「俺が一緒におりたいだけですから大変ちゃいます!」
『…ほんま宮くんはグイグイやなあ笑
一緒におるとペースもってかれてまうわ。宮くんがええなら私はなんも言わんよ。けどほんまに疲れてる時とかはまっすぐ自分の家に帰るって約束してや?』
「はい!よっしゃあ!
さんと毎日一緒に帰れる!」
1人で帰るんはちょっと怖かったし正直言うとすごく助かる。
『送ってくれてありがとう。
ほなまた明日学校でな。
気ぃつけて帰るんやで。』
「はい、また明日!」
帰っていく宮くんの背中を少しだけ見送ってから家に入ると見覚えのある家族以外の靴が1足玄関に増えとる。
『信介くんのや…ただいまーっ』
「おかえりー!信介くん来とるよ!」
『あれ、リビングちゃうの?』
「あんたの部屋におるよ」
『え?』
「え?ちゃうよ、あんたが帰ってくるん遅いから待たせてるんやろ。はよ行きや!」
なんで怒られなあかんねん!
約束してへんもん!