第10章 約束 ( 北信介 )
『なんでちゃっかり隣歩いとるん』
「えっ!好きだからです!」
部活終わりの帰り道、当たり前のように隣を歩く宮くんに最近は違和感が無くなってきている。
『声大きいやめてや』
「すんません、好きすぎてつい...」
『あ、そうやこないだ言ったやつ何か考えた?私的にはスポドリの粉とかどーかと思っててんけど。』
「それなんですけど、さんのOFF俺にくれませんか?」
『…というと?』
「俺とデートしてください」
宮くんらしいな…そっち系考えとらんかった。
『あ、いやでも私』
「分かっとります。北さんが好きなんは分かっとりますけど俺にもチャンスください!」
どっから来んねんそのグイグイは。
『まあ巻き込んでしまったんも助けてもらったんも私やしな…分かった、ええよ。』
「え、えっ!ほんまですか!?」
『次のOFFでええ?』
「はい!うわやばい!めっちゃ嬉しい!」
『そら良かったわ、ほな私こっちやからまたね』
「あ、家まで送ります!」
『はよ帰ってゆっくり休み、また明日ね』
「…分かりました、また明日!」
宮くんと別れてから5分程歩いたところで自分にぴったりとついてくる足音に気がついた。気のせいかもしれないって何度か立ち止まったりしてみたけどついてくる足音も一緒に立ち止まる。
早く家に帰んなきゃ...
あ、でも家バレたらどうしよ...
「あ、あの…さん」
え、え、話しかけられたんやけど...嘘やろ。
私の名前知っとるし知り合い...?
『は、はい…?』
恐る恐る振り返ると着いてきとったのは
「さっき一緒におったの彼氏ですか?」
『あ、え…あなたこの前の…』
信介くんと登校した日に学校の前まで来とった人や。何でここにおるんよ。
「覚えとってくれたんですね、嬉しい!
それで、さっきの人彼氏ですか?俺また会いに来るって言いましたよね…ひどい。こんなのあんまりや。」
嬉しい、とニコニコしたと思ったら今度は嘘みたいに笑顔を消して変なことを言い始めた。
怖い。逃げたい。
だけどきっと走っても追いつかれる。
こんなことなら宮くんに送ってもらえば良かった。
誰か通りかかってくれへんかな。
信介くんはもう家やろか…助けて信介くん。