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今宵は誰の腕の中で眠りますか⋯?

第10章 約束 ( 北信介 )



「ねえさっきの彼氏?」

『いや…ちゃいますけど…』

「そうなんや!あー良かった!
ほんなら彼氏つくらんと俺がまた会いに来るん待っててくれたんやね!」

『え、何言って…』

「恥ずかしがらんでええよ!待たせてしまってごめんね。今日からさんって呼ぶことにする。彼氏には名前で呼ばれた方が嬉しいですよね?」

ずっと何を言うてるんやこの人は。
怖い…けど体が動かへん。

でもちゃんと言わんと。

『あなたとは付き合われへんよって…前に言うたと思うんやけど…せやからごめんなさい。』

「照れてるん?可愛ええなあ…」

『え?あのほんまに私…す、好きな人おるから。こういうの迷惑や。ごめんやけどもう会いに来たりするんやめて欲しい。』

「は?好きな人?俺の事やろ…他におるん?俺がこんなに好き言うてるのにおかしいやろ!」

急に荒らげだした声に体がビクッと強ばる。

「あ、怖がらせてしもうた?ごめんね。
怖くないで…めっちゃ好きやねん。」

そう言って私の腕を掴む。
口調のわりには強い力。

『い…たいっ離してや…』

「俺の家でゆっくり話しましょ?
外で立ち話も疲れるやんな。」

ぐっと握られた腕を振りほどけずにズルズルと引きずられる。どんどん暗い道に入ってる気がするんは気のせいやろか。嫌や、このままじゃ家に連れ込まれる。そしたら逃げられる気がせえへん。

『や…っ離してや!』

「恥ずかしがり屋さんなん?可愛ええ。ここならあんま人通らへんから恥ずかしくないで?」

気のせいなんかちゃうかった。
もう何を言っても通じひん…

助けて…誰でもええから助けて…っ

「さん!!」

『…え、宮…くんっ』

「おい、お前手ぇ離せや!さん怯えとるやろ!」

「怯えてる?違うよ照れてるんだよ。君には分からへんと思うけど彼氏の俺にはわかる!」

「は?何言っとんねんきっしょいな。お前が彼氏なわけないやろ、はよ離せや!」

男の手首を掴んで引き剥がすと、私を隠すようにして男との間に立ってくれる宮くん。

「彼氏でもないくせにさんに近づきすぎなんだよお前!俺の女神に近づくな!!」

「あ?俺の好きな人に変なことすんなや。
こんな怖がらせて…許さへんからなお前コラ」

普通の高校生より身長も体格もある宮くんに凄まれては何も言えない男。
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