第10章 約束 ( 北信介 )
side北信介
はもう忘れてしまったやろか。
あの日の約束を。
┈┈┈┈┈┈┈13年前┈┈┈┈┈┈┈
『信介くんみて!今年もおそろいや!』
「ちゃんの浴衣可愛ええなあ」
毎年一緒にいく夏祭り。お母さんたちが同じ生地でお揃いの柄の浴衣と甚平を作ってくれて、それを着ていくのが毎年恒例やった。
『お母さんわたあめ食べたい』
「ええよ、信介くんと買ってき」
この日は初めて2人だけで屋台のものを買いに行った。お母さんからお金を受け取って、いつもお母さんたちがするみたいにわたあめを頼んだんよな。よう覚えとらんけど、は人見知りやったから俺が頼んだんは覚えとる。
『ありがとう信介くん!』
「欲しいものあったら僕が頼んだるからな!」
『うん!』
はじめてのおつかいみたいでテンション上がっとったんよな。俺の初めてはなんでもかんでもやった。おつかいのとき一緒におったんも、初めてした手持ち花火も、お泊まり会も、一緒に秘密基地作ったんも全部とやった。
『あ!あれほしいなあ…っ』
「どれ??」
『あのキラキラのやつ!』
おもちゃを売っとる屋台に子供向けのリングが売っとって、この頃のはキラキラしとるシールとかそういうアクセサリーにハマっとったんよな。
「お母さん、ちゃんがあの指輪欲しいんやって。一緒に行ってきてええ?」
「指輪?そんなら信介が買ってあげたらええよ。お母さん達ここで待っとるから行ってき!」
お母さんから貰ったお金をもってと2人で指輪を選んだ。は確かキラキラしとるピンクのやつを選んどった。
『これにする!信介くんは?』
「僕も買うん?」
『おそろいがええやんっ』
「そっか、そうやね!」
浴衣も指輪もお揃いがええって満面の笑みで言うもんやから、俺はと色違いでキラキラしとる青いやつを選んだ。
「おっちゃんこれください」
「ちっさいカップルさんかー?ええなあ!」
『カップルってなーに?』
「なんや嬢ちゃん知らんのか?カップルっちゅーんはな好き合ってる人同士のことやで!」
『そーなんや!そしたら私と信介くんはカップルやな!ね?』
「そうやなっ」