第10章 約束 ( 北信介 )
布団をきゅっと握って顔を逸らされてもうた。
これってもうそういうことやん。
『信介くんには…言わんといて…』
「言わんですよ。」
『信介くん好きな子おるんやって…どんな子やろな。どんな人がタイプなんかな…私なんも…知らんのよ。』
「さんはどんな人が好きですか。
やっぱ北さんみたいな人がええですか?
そんなら俺は…真反対ですけど。」
『え?』
「俺諦めへんですよ。さんのことめっちゃ好きやねん。俺のことも好きになってほしいです…そしたらいっぱい笑わせたります。」
『ほんまに宮くんは…信介くんと真反対やな。』
「なっ!言わんでええです!!
でも…ほんまに諦めませんから。」
遠くから見てるだけやった時とはもう違う。最近は俺にだって笑いかけてくれるようになった。周りから見たらちっさいことやけど俺にとったらほんまに嬉しいことやねん。
『私のどこがいいんよほんまに…。
おもろくないやろ、私とおっても』
「何言うてるんですか。おもろいとかそんなんちゃいますねん。好きやねんさんのことが。」
『そんな真剣に言われると恥ずいわ。』
「さん可愛ええ。」
鼻から下を布団の中に隠して恥ずかしいと目をそらすさんがほんまに可愛ええ。クールビューティ高嶺の花って言われてんねんでこの人。こんなん心臓ぎゅうってなるやろ。
『…私もう平気やから教室戻りや宮くん。授業とっくに始まってんで。』
「サボろ思うてあそこおったんで平気です。さん見つけられたんでサボって良かったですわ。」
『サボったあかんやろ。
信介くんに言っとこか?』
「や…それだけはやめてください!」
『ははっ、嘘や。助けてくれてありがとう。』
ああ好きや。こんな柔らかい表情するんやな。
「呼んでくれたらいつでも駆けつけます。」
『そら頼もしいな。』
「俺もここおってええですか。」
『好きにしーや。』
ちょっと前やったらきっと1人にしてくれって言われてたんやろな。このままもっと近づけたらええな。