第10章 約束 ( 北信介 )
何日か経って、あの日から信介くんとはなんとなく話をしてない。話したいけど話しかけられへん。なんとなく…やけど。
気まずさをなくしたくて一緒に帰ったはずなのに、また宮くんの事でギクシャクしてしもうた気がする。
私が好きなんは信介くんやのに。
もういっそ伝えた方がええんやないかな。
昼休み、1人廊下を歩いていると声が聞こえてきた。
「好きです。付き合うてください!」
告白やん…咄嗟に隠れてしもうたけど聞いたらアカンかったよな。でも気になる…っ!
「ありがとう。でも応えられへんわ。」
え、この声…信介くんや。
「もう彼女さんがおるからですか…?」
「おらんけど応えられへん。」
「たまに一緒におる人彼女さんやと思ってました。」
たまにって…まあ学校やったらたまにやけど!家近いし、めっちゃ遊び行っとるし、泊まっとるし、同じベッドで寝とるもん。
「もうチャイム鳴んで。教室戻りや。」
私の話題をスルーして教室へ戻るよう促す信介くん。なんだか心臓が痛い。彼女ちゃうって言われるんもきっと苦しいけど、スルーはもっと悲しいで信介くん。話題に出されるんも嫌やったんかな。
「じゃ、じゃあ最後にこれだけ…っ」
「なんや」
「好きな人おりますか?」
「…おるよ。ほらもう戻り?俺のこと好きになってくれて伝えてくれてありがとうな。」
「いえ…こちらこそ聞いてくれてありがとうございました!」
信介くん好きな子おるんや…。
私が聞いたときはおらんて言うてたのに。
誰やろ…信介くんの好きな子。
あかん苦しい…。息ができひん。
『……っはあ、はあ…っ』
「…っさん!?
何しとるんですかこんなとこで!」
『み、や…くん?』
「え、どないしたんですか?」
『なんもないで…平気や…っ』
「すんません…触りますね…っ嫌やったらあとで殴ってください!」
うずくまっていた私をひょいと抱き上げて、たどり着いたのは保健室。
「すんませーん、先生おりますかー?」
返事かえってこん…おらんのかな。
「なんやおらんのかいな。
さんベッド横になりましょ!」
『ごめ、ん…すぐ落ち着くから…』
「あんなとこで何してたんですか?北さんとすれ違いましたけど…北さんとなんかありました?」
『…』