第10章 約束 ( 北信介 )
「なんで泣くん?どないした?」
『信介くんがおってくれて良かった…っ
ずっと…そばにおってよ…っ』
私を分かってくれる人は信介くん1人おれば十分。
「ははっ、なんやプロポーズか?
俺がいつ離れる言うたんよ。
そんな泣かんといてや。」
『ん…ごめん泣いたり…して』
「そうやなぁ、が泣いとるんはちっちゃい時以来見とらんかったでびっくりしたわ。覚えとるか?公園で転んで泣いてたん俺が家までおぶって帰った日。」
うそ…信介くん覚えとるん?
そんなん私しか覚えとらんと思っとった。その日はハンカチを貰った日。忘れるわけない。貴方に恋に落ちた日だから。
『そんなん信介くん忘れとる思っとったよ。私は今もあのときのハンカチ大切にしとるもん。』
「もうボロボロやろ?笑」
何年前の話やねんって笑う信介くん。
『意外と綺麗なまんまやで?使うてへんもん。持ち歩いとるだけ…お守りみたいなもんや。』
「そない大切にしてくれてありがとうさん。
もう寝よか?ほら横になり。」
ペラリと布団を捲って私を寝かせてくれる信介くん。頭を撫でたり背中をトントンしてくれたり、まるで子供を寝かしつけるように私に触れる。
『ん…眠なってきたわ。
おやすみ信介くん…』
「いつまでたってもお子ちゃまやな。
おやすみ。」
私をからかうような信介くんの声を最後に意識を手放した。