第10章 約束 ( 北信介 )
《さん!侑です!
連絡先交換してくれてありがとうございます!
もうほんまに嬉しくて今なら北さんも怖くないです!笑 今は何してはるんですか?俺はこれからサムとゲームします! 》
宮くんの嬉しい、がよく伝わる文面。
なんて返そか。メール苦手なんよね。
「?なんや携帯とにらめっこして。
もう寝とる思っとったで。」
『おかえり信介くん。
今日宮くんと連絡先交換してな。
メール来たんやけどなんて返すか悩んでてん。』
「侑か?あいつも随分グイグイやな。
メールなんてきたん?」
『えっとな、これ』
そう言って画面を見せると一瞬眉間に皺を寄せた。あ、待って。信介くんどーこーって書いてあったやんな。やってもうた。ごめん宮くん。
「…まあええわこんくらい。
治とゲームする言うてんねやから、も俺と寝るところや言うたり。」
『え、そ…そんなん言われへんよ!』
「なんでや?事実やん」
そう言って悪戯っぽく笑う。
『もう、からかってるでしょ信介くん!
そんなん恥ずかしいから言われへん!』
「じゃあなんて言うん?」
『寝るところって言う…。』
そりゃそうやろ!信介くんと寝るなんて…信介くんの立場もあるしそんなん言われへんて。やのに心臓が音を立ててバクバクする。いたずらっぽく笑う信介くんに昔から弱いねん。普段とのギャップにやられてまうねん。
「が連絡先交換するん珍しいな?いつもは断っとるやん。侑のこと気になるん?」
『そんなんとちゃうよ。宮くん食い下がらんし、信介くんの後輩やからまあええかって。返信は期待せんといてって言うたし。』
「が登録しとる連絡先、俺しかおらんのちゃうか思ってたくらいやで」
『女の子はおるし!!ちゃんとおるし!
男の人は信介くんとお父さんだけやったけど…』
「なんでいつも断っとるん?」
『好意向けられるん怖いねん。本当の私を知らんと外見だけで判断しよって期待されて…嫌やねん。連絡先交換してしもたら期待させてしまうやろ。やから断っとった。』
「そうやったんや。
俺はのことよう知っとるもんな。」
優しく頭を撫でてくれる信介くん。
涙が頬を伝うのが分かった。