第10章 約束 ( 北信介 )
『信介くんは…好きな人おらんの?』
あぁ聞いてしもうた…っ
「俺は…せやな。
今はバレーで精一杯やな。」
『そ…うやんな!』
「の好きな人はどんな人なん?
そんくらい聞いてもええやろ?」
「え、うん…えっとなぁ。
しっかりしとって頼りがいのある優しい人かな。」
バレてまう…かな?
それ俺の事やんってならへんかな…?
「へぇ、そうなんや。
なんやいい人そうやなそいつ。」
そんな優しい顔で笑わんといてや。心臓痛いやんか。信介くんて鈍感や…それがありがたくも苦しくもある。
『あ、じゃあ私教室いくね。
信介くん部室行くやろ?』
「せやな。
久々一緒に登校できて楽しかったわ。
ほなまたな」
自分が今どんな顔しとんのか分からんくて、とりあえず1人になりたかった。信介くんからしたらなんでもない一言に期待しても意味ないのに…恋って苦しい。
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次の週の週末。
私はバレー部の試合を見に来とる。
観客席から見とるだけ。
プレイ中の信介くんはかっこええから。
隠れファンがおるんも知っとる。
「あっさんや!」
御手洗から出たところで声をかけられた。
『宮くん』
「さんから呼ばれるんめっちゃ嬉しい!たまに試合見に来てはりますよね!俺知っとります!」
『そやね、来とる。』
「北さんと付き合うとるからですか?」
『付き合うてへんよ』
ガツガツ来よる子やなぁ。
治くんとは違うタイプや。
「…そ、そうなんですか!サムが付き合うとるって言うから…騙されたぁあ!アイツ許さへん!」
『サムって治くん?信介くんの冗談に騙されとるだけやから責めんといてあげてや。』
「前に聞いたときはおらん言うてたってサムにも言うたんですけど、北さん家一緒に帰ってたでって言われてもうて…」
『それはほんまやけど、お母さんたちもおったし宮くんが思ってるような事とちゃうよ。』
自分で言ってて悲しなるわ。