第10章 約束 ( 北信介 )
「なんや侑ぼーっとして
しゃきっとせえよ」
「⋯っすんません」
「なんかあったんかいな
体調悪いんやったら今すぐ帰りぃ」
「そんなんとちゃいます!」
「元気ならシャキっとせぇ」
「はい、すんません!」
そうや、北さんなら同じ学年やしさんのこと知ってるんとちゃうか?いや、あんな超絶美人と北さん⋯知ってて名前くらいやろな。明らか接点なさそうやんけ。北さんそういうのに全くもって興味あらへんからな。
聞いたところで関係ないこと聞くな言われそうやし。
――――――
部活終了後、
いつもより早くに部室を出る北さん。
「あれ、北さん今日は早いんですね」
「今日は予定があんねん。
ほな、また明日な」
こんなヘトヘトに疲れた後に予定て⋯
なんの予定やねんな。
「ねえ北さんの予定なにか気にならない?」
「なんや角名気になるんか?
奇遇やな、俺も気になってん」
「だよね、こんなヘトヘトになったあとの予定ってなんだろ。彼女とか?北さんそういうイメージ全くないけど。」
「彼女はないやろ〜
んまええわ、着いてこや!」
北さんの後をバレへんようにそっと着いて校門までたどり着くと、誰かと待ち合わせをしていたらしく、誰かがひょこっと現れた。暗くて顔はよく見えへん。
「すまん、待たせてしもたか」
『信介くんお疲れ様。
私も今来たとこやから平気やで。』
私⋯?女子やんか!!しかも名前呼び!?
「もお疲れさん。
ほな帰ろか。」
え、?⋯ってさん?
「え、侑⋯あの人って侑がよく話してる人?」
一瞬街灯の下を通ったときに顔が見えた。
それは紛れもなく北さんとさんで。
「嘘やん⋯北さんと付き合っとるん?」
「侑大丈夫?」
「いや⋯だいぶショックやわ⋯」
ショックな気持ちのまま帰って飯食って風呂はいってすぐ寝た。
次の日の部活もその次の日の部活も
何となく心ここにあらず状態やった。
何回北さんに名前呼ばれたんか分からん。