第9章 歪想 (羽宮一虎 / 場地圭介)
状況が…読み込めない…っ
教室でカズくんを待ってたら圭介くんにキスをされて…そこに丁度カズくんが帰ってきて。ちゃんと話をしたくて私のお部屋に帰った来たけどこれは…。私はなんで圭介くんとベッドにいるのだろう。視界には圭介くんと天井だけ。
短くなった髪のせいで昔の圭介くんに見えてしまうけど、これは紛れもなく成長した圭介くんで…えっと、えっと…どうしたらいいの。
『圭介くん…?』
とりあえず…名前を呼んでみる。
「涙止まったんか?」
『え、あ…ぅん。』
親指で涙のあとをなぞられる。ひとつひとつの仕草が優しくてあたたかい。キスも…嫌なんかじゃなかった。カズくんにはしないと言っておきながら、こんなにもあっさりファーストキスを奪われてしまった。だけど嫌じゃなくて…むしろ…っ。
「もっかいキスしていい?」
肘を曲げて私の顔の横に腕を着いた圭介くんの顔がグッと近くなる。
『え、だ…っだめ!』
「わりぃ、きーただけ。」
さらに近づいてきた圭介くんに、再びいともあっさりと唇を奪われた。圭介くんの顔が離れると熱を含んだ視線に見下ろされる。体の中心が疼くような感覚。
「んな顔すんなよ、止まんなくなる…」
『そんな顔って…ど、んな?』
「もっとしたいって顔」
『そ、そんなこと!ない…もんっ!』
「なあ聞かせて。
嫌じゃなかったんなら…なんなんだ?」
嫌じゃなかった…あの時感じたのは…
『圭介くんは…、こういうの好きな子が相手じゃなきゃ意味がないって言ってた、から…っ。』
「うん」
『どうして私にキ、ス…したのか分からなくて。他の子にもするのかなって考えたら…すごく苦しいの。』
私を見つめる瞳も、優しい口付けも…この先誰かのものになってしまったらと考えて途端に胸が苦しくなった。
「他のやつになんかするわけねぇだろ」
『でも…じゃあどうして私に…っ』
「好きなやつじゃなきゃ意味ねぇからお前にしたんだけど。」
『い…いつから…?』
こんなに一緒にいたのに…いつから?
「んなの分かんねーよ…。
ガキの頃からどーしたらが俺のもんになるかってそればっか考えてたし、アルバムの中の俺もお前の方見てんのばっか。」
『う、そ…?』
「嘘じゃねぇからあとで確認してみろや」
トクトクと脈打つ鼓動が速くなるのが分かる。