第9章 歪想 (羽宮一虎 / 場地圭介)
週明けの朝。
いつもより早く迎えに来てくれた圭介くんと一緒にカズくんのお家へと向かう。
「場地の髪がなくなってる」
圭介くんにあって一言目。
「なくなってはねぇよ切っただけな」
『昔みたいで懐かしいよね!』
「あーたしかに」
3人揃っての登校。
これが当たり前になればいいな。
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「やっと昼かよ…1日なげぇ。」
『一緒に卒業したいから頑張ろう?』
「ん、わーってる。」
最近やけに素直な気がするカズくん。
本当に女の子とは遊んでいないぽいし
私はもう必要がないかもしれない。
「飯食おーぜ。場地んとこ行こ。」
『うん、行く』
教室に入ってきた私たちを視界に捉えるなり圭介くんがカズくんを呼ぶ。
「一虎ァ」
「んー?」
「担任がお前のこと探してた」
「まじ?なんか言ってた?」
「話したいことあっから放課後職員室ってさ
すぐ終わるから帰るんじゃーねぞっつってた」
「すぐ終わんならいーや。
待っててー?」
『いいよ、圭介くんと待ってる』
きっと出席日数とか進級の話だと思うけど。
この前は圭介くんを待ってたし、今日はカズくんを待とう。3人で帰れるのが嬉しくて待つのなんか全然苦じゃない。
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あっという間にやってくる放課後。
「んじゃ行ってくるわー」
『はあい』
カズくんが出ていって誰もいなくなった教室に圭介くんが入って来てだるそうに机に腰をかける。
「一虎行った?」
『うん、いまちょーど』
「んじゃ待ってるか。」
『うんっ』
「なあこっち来て。」
『うん?』
伸びてきた圭介くんの手を取るとグイっと引っ張られて腕の中に収まる。
『甘えん坊さんの日?』
「んーん、ちげぇ。」
『どうしたの?』
「…好き。」
圭介くんからの好きが苦しく聞こえるのはなんでだろう。
『うん、私も圭介くんが好きだよ』
「…ん。」
私を抱きしめる腕にきゅっと力が込められる。