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今宵は誰の腕の中で眠りますか⋯?

第9章 歪想 (羽宮一虎 / 場地圭介)


「ご飯できたよー!」

『はーい!!』

聞こえてきたお袋の声に返事をする。

『ご飯できたって!行こう?』

「ん」

お袋が俺を見るなり2度見をしてガシッと頭を掴んだ。

「ってぇ何すんだよ!」

「あんた髪どーしたの?」

「さっき千冬に頼んできってもらった」

まあ朝と髪の長さが違ったら驚くよな。

「なんで?」

「なんで…?」

「なんで急に切った?似合ってるけどさ」

「なんでとかねーけど別に。」

ふーん、と意味深な顔をしてるのが全てお見通しみたいでムカつく。昔からお袋にはが好きなんだろ、と何度も何度も聞かれているから俺が髪を切った理由なんて分かりきってんだろ。フラれたか、短いのを見たいと言われたかの2択。

『昔みたいで懐かしいよね』

「たしかにね、いつのまにあんな伸びたんだか」

3人で夕飯を食べるのはいつぶりだろうか。

『私涼子さんのご飯だーいすき!』

「なになに嬉しいこといってくれるねぇ
いつでも食べにきなさいよ!」

『えへへ、嬉しい』

娘が欲しかったのか知らねぇが俺のお袋はを本当の娘のように可愛がるし、も俺のお袋と第2の母ちゃんみたいに接していて仲がいい。2人だけで出かけたりすることもあるしな。

「「『ごちそうさまでした』」」

が食器を運んで洗っているのを横目に俺はテレビをつける。

「圭介あんたが洗いなさいよ
なんでちゃんにやらせてあんたテレビ見てんの。おかしいでしょ、ちゃんこっちで私とテレビ見よ!」

『でもご馳走になったし…』

「いーのいーの、ほら圭介!」

「はいはい…
俺がやるからそれ置いとけ」

お袋には極力逆らわない。
怖いから。

『あ、うん。
じゃあこのお皿だけ洗ったらね!』

「おー」

手にしていたお皿を洗い終わって俺と交代でソファへ座る。お袋と二人ならんでテレビを見て笑っている姿は本当に親子みたいで微笑ましい。
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