第9章 歪想 (羽宮一虎 / 場地圭介)
ただいま、という声に圭介くんの部屋を飛び出すと玄関で靴を脱いでいる涼子さんがいた。
『涼子さん!』
「お、ちゃん来てたの!
うちに来るの久々じゃない?」
『涼子さんに会いたくて来ちゃった!』
「またまた〜、ほんと可愛んだからぁ
圭介とは大違いだよ」
そう言って頭をぐしゃぐしゃと撫でられる。昔から娘のように可愛がってくれる涼子さんが大好き。
『えへへ〜』
「今日泊まってくでしょ?」
『うん、お風呂もさっき借りちゃった』
「そっかそっか、じゃーあ
ご飯すぐ用意するから圭介と部屋で待ってて」
『はーいっ!』
言われた通り部屋に戻ると圭介くんが私に向かって腕を伸ばす。素直にその手を取ると引き寄せられて、優しく抱きしめられた。
『やっぱり甘えたい気分?』
「ん、」
『甘やかす約束だしね』
「。」
『なーに?』
「落ち着く。お前の体温。」
『あったかいー?』
「ん、あったけえ。」
サラサラと髪に触れて何度も頭を撫でる。寂しい時は決まって甘える圭介くん。無意識だったらしいけど、普段からは想像できない圭介くんが可愛くて私はすごく好き。
『涼子さんがね、ご飯すぐ作ってくれるってよ。今日のご飯なんだろうね。私涼子さんのご飯だいすき。』
「はは、お袋に言ってやってよ。
多分すげぇ喜ぶから。」
『うん、あとでご飯の時言う。』
「なあ、俺お前の飯も食いたい。」
『今度は私が作ろうか。』
「うん。俺お前の作る飯好き。」
『カズくんも圭介くんも美味しいって食べてくれるから嬉しいなあ。何食べたいか考えておいてね。』
「ん。」
圭介くんペヤングばっかり食べてるから栄養あるもの作ろうかなあ。