第9章 歪想 (羽宮一虎 / 場地圭介)
「んで答えはでたか?」
「…よく分かんねぇわ。
言われてみたらそうかもなって思ったけど。まだよく分かんねえ…てか頭ん中ぐちゃぐちゃ。」
言われるまでそんなこと考えもしなかったんだろうが、俺からしたらコイツが遊び始めたときから違和感があった。髪型と笑った感じがどことなくに似た女。
似てんなあって、ただそれだけ。
次の女も…その次の女も…。
髪型、身長、笑った顔、仕草、雰囲気…
なにかがに重なる部分を持つ女ばっか取っかえ引っ変えしてる一虎に違和感が増してくばかりだった。に手を出せない代わりに似た女を抱いてるんだと思ってた。
それが無意識なら相当だろ。
「週明けは学校来んのか?」
「行くつもり。行かねぇとやべーし。」
タタタ、と聞こえてくる足音
『ごめん、ドア開けてほしいっ』
扉の向こうから聞こえるの声で会話を止める。ドアを開けてやるとトレーの上にマグカップが3つ。
『ありがと圭介くん』
「俺の分も入れてくれたのか?」
『私も飲みたかったから皆で飲もうかなって』
「さんきゅ」
『ううん、はいどーぞ』
がいるだけで空気があたたかい。
ココアみたいに甘くてあったけーやつ。
「ー」
『なーにカズくん』
「ちょっとこっち来て」
言われるまま一虎の足の間に腰を下ろしてすっぽり収まってしまった。
『どうしたの?』
「んー?おまえあったけぇからさ。」
『あはは、昨日圭介くんにも言われたあ』
「場地に?なんで?」
『朝ね、お迎え来てくれたんだけどまだ寝たくて一緒に寝よって付き合ってもらったの。そのときに!』
「ふーん」
なんだよその反応。
心底面白くなさそうな表情の一虎。
やっぱに少なからずそういう感情を抱いてるんじゃないかと違和感が確信に近づいていく。
『週明け朝お迎え来るけどカズくん朝から来るよね?』
後ろから抱きしめられたままのが一虎を振り返って聞く。鼻先が触れるほど近くて、思わず引き剥がしたくなるのをぐっと堪える。
「…っ、行くつもり」
目を開いて動揺する一虎。
『わ、わかった…っ』
なんでお前まで顔赤くしてんだよ。
やっぱなんかあったんだよな?