第9章 歪想 (羽宮一虎 / 場地圭介)
「お前本気で気づいてねぇの?」
「お前が今まで抱いてきた女全員、背丈とか髪色とか髪型とか…に似てるの偶然じゃねえだろ。」
場地とわかれた帰り道。さっきの会話が頭ん中で何回も再生されてる。確かに言いよってきた女を全員抱いてたわけじゃない。それは俺にだって選ぶ権利あるし…。
思い返せば思い返すほど、どことなくに似た女を抱いてたような気もする。場地が言ってたように背丈とか。髪型…とか。俺が無意識のうちにアイツを求めてた?
そういや優しく抱いたとか、求めるように抱いたくせにヤリ捨てすんのかって言われたのって…あーなんか全部繋がった気がする。と重ねてたんなら納得できるつっーか…。
だけど満たされたことなんてなかった。
じゃあアイツを抱いたときは?
すっげぇ満たされたし何回もシたくなった…
嘘だろ…俺のこと…っ
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
次の日の朝、頭が痛くて目が覚めた。
昨日の夜考えすぎたんかな…。
いってぇな…。
『カズくーん、おはよー?
…あれ、もう起きてた?』
ノックもなく開いた扉からが顔を覗かす。その後ろには当然場地もいて、今日も起こしに来てくれたらしい。
「はよ、一虎。」
「はよ…悪ぃんだけどよ。
頭痛くて…今日パスで。」
『え、大丈夫?
私頭痛薬持ってるよ…えと、ほらっ』
お袋は仕事に出てて、家には誰もいなかった。薬の場所も分かんねえから正直助かる。
「さんきゅ、飲むわ。」
『帰りにまた来るから。
何か欲しいものとかあったら連絡してね』
万全じゃない体調と、昨日のこともあって、の優しさがいつも以上に沁みる。
「んじゃ俺らは行くな」
「おー、悪いな。」
「んま、お大事に」
それだけ言って出ていった場地と、出ていく直前に俺の頭を撫でていった。そんなん今まで何回もあったのに意識…しちゃうよなぁ。