第9章 歪想 (羽宮一虎 / 場地圭介)
いやでも本当のことかもしれないし。
そうだとしたら
「一虎が寝てたんじゃ暇だったろ?
ごめんな補習長くて。」
こいつはきっと退屈してたよな。
『え、あっ、ううん!
全然だよ全然!』
「お前も寝てたの?」
『えと私は…少し…?だけ、かな。』
「そっか」
また目そらされちまったなぁ。
俺がそらすと寂しいからしないでって言うくせにお前はするんだな。俺だってお前から目そらされんのすっげぇ悲しいよ。
を家の前まで送ってから、ダルそうに渋々承諾した一虎と2人で近くの公園に寄った。
「なんだよ場地、こんなとこ来て」
「わかんねぇ?」
「なにがだよ…」
「に何かしたか?」
「何もしてねぇよ…」
「じゃあなんでアイツ最近あんなにそわそわしてんだよ。なんか知ってんだろ一虎ァ。」
俺には思い当たる節がお前しかいねんだよ。
「知らねえって。
一緒に帰ったりしてるだけだろ?」
それならなんで…
「お前本気で気づいてねぇの?」
「だからなにがだよ!」
「お前が今まで抱いてきた女全員、背丈とか髪色とか髪型とか…に似てるの偶然じゃねえだろ。」
驚いたように見開かれた一虎の瞳。
まるで今気づいたかのような反応。
「え…は…?に?」
「だと思って抱いてたんか?」
「や…そんなわけ、ねえ…だろ?」
「アイツは気づいてねぇと思うけどよ。
無意識で選んでんのかお前。」
「…ごめん、分かんねえわ…。
ちょっと考えさせて…わりぃ。」
明らかに動揺している一虎は、それだけ言って俺に背を向けて帰っていった。ほんとに気づいてなかったのかよ。