第9章 歪想 （羽宮一虎 / 場地圭介）

「っあー、寝っ転がってたからじゃね」

「なにお前、ガチ寝？」

「わりと」

...あれ？

カズくんなら本当のことを言うと思った。男同士だしバレてもいいって言ってたから。もしかして私のため…？

「一虎が寝てたんじゃ暇だったろ？
ごめんな補習長くて。」

『え、あっ、ううん！
全然だよ全然！』

「お前も寝てたの？」

『えと私は…少し…？だけ、かな。』

「そっか」

カズくんを見ると、なんでもない顔をして歩いている。さっきまで…あんなことしてたのに…まだ慣れないなぁ。それともやっぱカズくんにとってはどうでもいいことなのかな。

私ばっかり初めてでドキドキして…
バカみたいだなあ。

「なあ一虎」

「今度はなんだよ」

「送ったあと時間あるか？」

「あるけどなに」

「ちょっとツラ貸せや」

「はー？なんだよダリぃな」

『ちょっと喧嘩は…っ』

「久々2人で話してぇだけだよ」

確かにカズくんと圭介くんが2人きりでいるところって最近見てなかったなあ。きっと私がいるからだよね。たまには男同士で話したいこともあるか。

『そうだよね、たまには2人でね。』

「まあ…たまには、な。」

「わーったよ。」

カズくんは遠回りをして私を家まで送ってくれたあと、圭介くんに連れられて2人でどこかへ行ってしまった。2人で話すことってなんだろ。

気になるけど…ま、いっか。

この日は特に寄り道もせず久しぶりにまっすぐ家に帰ってきた。撮りためてたドラマでも見ようかなあ。